私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

雨宮慶太 × 井上敏樹 × 若松俊秀 × 岸田里佳 × 成瀬富久 × 三輝みきこ トークショー レポート・『鳥人戦隊ジェットマン』(4)

【『ジェットマン』の演出陣 (2)】

 『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)の序盤では監督によって指示が違うので、若松氏は井上先生に電話して相談し、飲み歩くようになったという。

 

井上「監督はみんな自分の回の脚本しか読まないからね(笑)」

若松「演出上で私が気に食わなくて、監督で前後の台本を見ていらっしゃらない人がいて(笑)。「こういうことを言われるんだけど」って井上さんに電話して」

井上「恋愛要素はカットしろということだよね」

若松「和気藹々としなさいと」

井上「前後のホンを読んでないのもあるけど、戦隊に恋愛はいらんと。監督連中は恋愛要素を厭々やってた感じがするね。興味がないんだよ。おじいちゃんだったしな(一同笑)。「何だ恋愛なんて」と思ってるんだよ」

若松「われわれキャストは20代だったんで、興味はありましたけど。井上さんに電話してよかったですよ」

井上「若松からの電話がなければ飲みにも行ってなかったな。おれは微妙だね(一同笑)」

雨宮「この間、鈴村(鈴村展弘)監督に聞いたら雰囲気が大分変わったと。昔は怒鳴るのが日常茶飯事だった」

井上「あれがなきゃつまんないよね(一同笑)。東映の色だから」

雨宮「こういう人がいるから」

井上「エレベーターでお前を脅すようなさ(笑)」

【終盤について】

 第50話「それぞれの死闘」ではジェットマンのマスクが割れて若松氏の顔がのぞく。

 

雨宮「面割りもタブーだったじゃん。制作部に電話かかってきたけど「いやなんか、いろんなパターンで撮ってるみたいですよ」とか答えた(一同笑)。『ジェットマン』は変身した後は(顔の前に)モニターがあってその中で会話してる。そこは細かくやってる。あれはゴーグルなんだよね。

 最終回でコックピットに長官が来てから、みんな変身が解けて役者になる。あれは台本でああなったっけ?」

井上「覚えてないな」

雨宮「きょう見てぎょっとしたんだよ。最終決戦で、コックピットにキャラクターがいない。スーツのヒーローが最後まで頑張って、おもちゃ売り場に行けばそれが買えますよっていうのがいちばん正しい方式じゃない? でも全然出てこない」

井上「最終回までいけばもういいんじゃないの。おもちゃ売り切った後だから(笑)」

雨宮「当時、井上がそう言ってくれたのかな(笑)」

 

 最終話「はばたけ!鳥人よ」では敵を倒した後で、エピローグが長く描かれる。

 

雨宮「最終回は、ホンもらっておれなりに難しいなって感じはしたね。最後に戦いが終わって平和な日々が始まる、3年後のエピローグ、って「。」がついてるんだけど、脚本の「。」に演出家が乗っちゃうとしょっぱい話になるんだね。脚本の「。をずらして演出家の「。」をどこにするか」

若松「最後の余韻がいいですよね」

雨宮「それでおれ、最後にリエが出てきて(エンディング主題歌の)「こころはたまご」が流れる。あの曲のイントロがすごくいいんだけど、イントロはいつも使ってない。イントロを使いたくて、イントロが流れてリエ(丸山真歩)が出てくるってところを演出家の「。」にした」

井上「スローモーションになるのがよかったよな」

若松「竜の目線がおれのほうを見るのかなと思いきや、リエのほうへいきますね」

雨宮「あそこを思いついて、井上も誉めてくれたね」

井上「素晴らしかったね」

 

 クレジットが終わった後で、アイキャッチの画像と同じポーズの5人が動く。

 

雨宮「全部終わって、1年間のアイキャッチが演者に代わって、同じ方向に見る。『ジェットマン』のアイキャッチは全員が違う方向を見てるんだ。バラバラの方向を見ていて、全員が勇ましいポーズじゃないところが『ジェットマン』っぽい。でも最後で同じ方向を見るってのがラストにいちばんいい」

井上「シンボリックでいいよね」

雨宮「井上の台本にみなが同じ方向を向くって書いてあったから、すぐ破っておれの手柄にしないと(一同笑)」

井上「おれそんなこと書いてないよ」

雨宮「記憶も忘れさせて」

井上「思い出した。書いた書いた(一同笑)」

雨宮「『ジェットマン』はそういう話じゃん。井上のホンでもみんな同じ方向で海見てる(場面がある)。それを深読みして。きょう見て、結構いろいろ考えて撮ってたな」

【ドラマとアクション】

井上「雨宮にも鈴木さん(鈴木武幸プロデューサー)にも口を酸っぱくして何度も言ったけどね、アクションシーンを優先するなと。アクションはいくらやったってハリウッドとかには勝てない。それよりドラマを見せようよって何回も言ってたね。難しいところだったよね。なんだかんだ段取りもあるしな」

雨宮「井上とおれで目指してるところも違ったりするから。作家的に通じるところもあるけど。

 同調しすぎちゃうとダメかな。おれはどっちかというとアクションとかヒーローとかに興味があるから、人間ドラマより。どんなおもちゃが出るんだろうとか(笑)」

井上「だからよかったんじゃないの? おれとお前で」

雨宮「井上が書いてるから、おれもドラマを撮るかと。ドラマがあるとメカとかに返ってくるね」

 

【その他の発言 (1)】

井上「ふと思い出したんだけどさ、死んだ親父(伊上勝氏)が『ジェットマン』見たんだよ。めちゃくちゃ誉めてた、面白いって。

雨宮「ほんとに?」

井上「親父が誉めたの珍しかったからさ、覚えてるんだよね。たまたま偶然見た。その年、死んだけどね。変なもの見せたから死んだんだよ(一同笑)」

若松「われわれ葬式行ったじゃないですか」

井上「ああ、来た来た」(つづく