私の中の見えない炎

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金子修介 × 寺田農 × 永島敏行 × 荒井敦史 × 左伴彩佳 × 宮下玄覇 舞台挨拶 レポート・『信虎』(2)

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 『信虎』(2021)での左伴氏は、父からは結婚を勧められるが強烈な母のせいで未婚だという設定。

 

左伴「私は理想が高いので。寺田さんのような優しくて、話も面白くて気さくでステキな方と出逢えたらいいなと思っています(一同笑)」

寺田「何ともはやですね。あなた、人を見る目がない(笑)」

左伴「(笑)撮影のときも私は演技が初めてだったのでとまどっていたら、アドバイスしてくれて。すっごく優しく教えてくれて、最初は怖そうだなと思ったんですけど。今回共演できてよかったです」

 

 共同監督の宮下氏は制作・脚本・美術・装飾・編集も兼任している。

 

宮下「ロケが本当に大変でして。私は美術を担当してたんですけど、みなさんは撮影後に帰られますが、私は翌日の小道具の準備。ものすごく大変でした。江戸時代のもので簡単に壊れるので、ボンドでつけたり。日中はメイクやかつらの手直し、所作の指導で目が回るような。

 編集では何日も徹夜して、10日じゃきかないですね。VFXや音づくりもやりました。

 こうして公開できて、時代劇の風穴を開けることができたかなと。大変でしたけど満足しております」

永島「特殊メイクは江川(江川悦子)さんがやってくださって。人工の皮膚をはりつけていく。500年前のリアルさが出ていますね。1時間半かかるんですけど、朝早くから1時間半で役に入っていくのにいい時間でしたね。京都の街を夜明け前に歩いていると、気持ちもタイムスリップしていける」

荒井「リアルさのせいで緊張するというか(笑)。一堂に会するシーンで、ひとこと何か言うにも緊張してくる。本物の場所でかつらもリアルで。かつらは最先端の技術ですから、最先端と古いものとの融合を新鮮に感じました。

 ぼく、びびってた記憶しかなくて(笑)。カットがかかった瞬間にずっと金子監督の顔見て「大丈夫なんですかね?」。ずっとヒヨコの気分で、それが画に出てないといいなと」

寺田「時代劇はなかなか若い人に受けない。荒井さんは『水戸黄門』(2017)をやってたから、いっしょにやったこともあるけど、時代劇がベースにあるのね。現代劇ばかりだと時代劇の文化ってなくなっちゃう。荒井さんは台詞の明瞭さといい素晴らしい。言うこと聞かない孫ってのがよく出てますよ(一同笑)」

荒井「今後もつづけていきます(笑)」

 

 金子修介監督はガメラシリーズやゴジラ、『デスノート』(2006)など多彩な作品を手がけているが、今回は毛色が異なる。

 

金子「映画はいろんな制約の中でつくっていく。時代劇は約束事があるんで守りながらやっていく。当時のリアルな空気を醸し出すために、自分のいつものテンポ感を殺して当時の空気を流そうと演出したつもりです。過去の作品とは違うというか、ロマンポルノとは違いますね(一同笑)。怪獣映画と似てるところはあるかな」

 最後にメッセージ。

 

金子「信虎史上最強の寺田さんと勝頼史上最強の荒井くん。すみません、永島さん飛ばしちゃって(一同笑)。一歩表に出たら殺し合いの世界という中でのファミリードラマをお愉しみください」

寺田「先日ある歴史学者の人が言ってましたが、小学生中学生高校生大学生100人のうち80人が忠臣蔵を知らないと。そういう時代なんですね。忠臣蔵は江戸時代ですが、この映画はそれより前です。

 よく画面に集中してご覧になっていただきたい。そうしないと思わず寝ちゃうと(一同笑)。でも寝るというのはいいことなの。つまんない映画はいらいらして眠れもしない。目が覚めたらまた見ていけばいいんです。年末ジャンボ宝くじは1回だけ。この映画はこれから当分やりますから、判らなければ何回でも見ていただければかえっていいかもしれない。堅く考えないで500年前の世界があったんだなと感じ取っていただければありがたいですね。

 きょうは信虎、信玄それから勝頼の3代の揃い踏みとなりましたが、武田家3代をもってしても為しえなかった全国統一を、この映画がヒットすることによって野望を叶えたいと思っております。時代劇の文化を絶やさないように宣伝をよろしくお願いします(拍手)」

 

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