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堀北真希 × 高良健吾 インタビュー(2011)・『白夜行』(1)

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 東野圭吾白夜行』(集英社文庫)はテレビ化・映画化されたヒット作。その映画版(2011)の主演者・堀北真希高良健吾のインタビューを以下に引用したい。同じ取材をもとにしたのであろう記事はネット上にあるのだが、このインタビューは現在読めなくなっている(明らかな誤字は訂正し、可能な限り用字・用語は統一した)。

 

——本作に出演するに当たりプレッシャーはありましたか?

 

(雪穂役)堀北 原作者である東野さんに対して勝手にプレッシャーを感じていました。

 『白夜行』はストーリー自体の面白さ、言葉にはできない複雑な思いが本の中にあるからこそ魅力的な作品だと私自身が思っていたので、自分が思ったものを自分の中に留めておくならまだしも、外に出して表現することがうまくできるのかというプレッシャーはありました。

 

(亮司役)高良 『白夜行』はドラマ化もされていて、舞台もあって、韓国でも映画化されている。比べないで欲しいって思っていても比べられてしまう作品だと思うので、やはりプレッシャーはありました。

 

——原作から汲み取って役作りに反映させた部分があれば教えてください。

 

堀北 雪穂については、原作の中の雪穂の行動から読み取るというより、周りの人が雪穂を見るリアクションだったり、行動から雪穂と言う人物が成り立っているという印象がありました。原作を読んで私なりに雪穂のイメージがなんとなくあったので、それをできる限り忠実に形にしたいなとは思いました。

高良 ぼくは原作は読んでいないんですが、自分で役を作り上げていくというより現場で、周りが作り出してくれるということが沢山ありました。

 亮司が色々な罪を犯す上では、ただ淡々と気持ちを押し殺していこうって思っていました。でも監督から「もっと人間的に悩もう、処世術に長けた人間でいよう」って言われました。典子に青酸カリの話をするシーンを撮っている時に深川栄洋監督から「瞬きをしないでくれ、目を逸らさないでくれ」って言われたんです。

 ぼくが最初にした芝居は、典子を騙そうと思って騙している芝居だったんだと思います。でも、目を逸らさないことによって、それは騙すのではなく、普通にしているように見える。典子だけではなく、映画を観ている観客も騙す演技になったんだと思います。

 

——今回の役は努力した点、苦労した点がスクリーンからは伝わり辛い部分もあると思いますがいかがですか?

 

高良 ぼくが演じた亮司を切り取って、物語全体を作り上げてくれるのは作り手である監督やスタッフさんがしてくれることなので、ぼくは亮司を精一杯演じました。ある意味、自分がやる役のことしか考えていなかったです。

 今回、『白夜行』の撮影期間の合間に他の作品のキャンペーンで地方を回っていたことが、気分的には辛かったです。

 

堀北 精神的に辛いこともありましたが、自分が望んで飛び込んだというか演じた役だったので、むしろ気持ちよかったし、楽しかったですね。

 

——堀北さんも他作品(引用者註:『大奥』)の撮影と同時進行でしたがいかがでしたか?

 

堀北 もちろん、本当は1つ1つできたら理想的ですよね。撮影前に時間があって、役の準備も心の準備もできた上で撮影に入って、撮影の時はその役にだけ集中して、終わったらケアする。でも、それはほぼ無理ですよね。

 お芝居をする上で、役が重なってしまうのは大変だけれど、じゃあどっちか楽なほうを取るかって言ったらそれは自分の中で許せないことだし、やれることはやらないといけない。今回に関してはむしろ真逆の役で良かったのかもしれないです。

 ただ、やっぱり何日か『白夜行』の撮影をして、やっと掴めた時に他の役に入らなくてはいけないのは気持ちがリセットされてしまうんです。何日かかけて積み上げてきたものをリセットしなくてはいけないのは辛いですよね。つづく

 以上 “シネトレ” より引用。

 

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白夜行

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