『リンキング・ラブ』(2017)のクライマックスではメインのふたり(田野優花、石橋杏奈)がコンサート会場を離れてしまいピンチに陥るが、コンサートは予定通り開幕する。
金子「アイドルグループ物ではいろんな歴史があるけど、5〜6人だと1人駆けつけてコンサートが始まるとかそういうパターンが多かったんですけど、今回これだけ(人数が)いると1人いなくてもコンサートは始まると映画つくってみて学習しました(一同笑)」
金子監督は『失われた歌謡曲』(小学館)を著すなどアイドル文化に造詣が深い。
金子「ぼくの高校時代はスターと言われてた人がアイドルと呼ばれるようになってきて、浅田美代子さんとかほんとに歌が下手でね(一同笑)。歌が下手でもかわいくて芝居がうまければいい。フォークソングが来て、アイドルがほとんどいなくなるんですが、またキョンキョン(小泉今日子)、松田聖子で80年代にアイドルが復活する。このころ、映画の中で中尾(中尾明慶)さんがやったような理論的な人が現れて、ぼくのそのひとりですけど、そういうアイドル研究の成果が今回は出たかな(笑)」
金子「アイドルというのはもともとかわいいというのもあるけど、仲間と切磋琢磨しながら、かわいさを獲得していくという。それが職業的なアイドルの姿だと思って撮ってました。その獲得の感覚は撮られててどうですか。私かわいいって思ったりしますか」
田野「…いやあ、ない」
百合沙「踊ってるときにカメラがこっち向いてたらアピールします。それはかわいいと思ってなきゃできないですね。はずかしくなっちゃう」
「恋するフォーチュンクッキー」を歌いながら、ひとりずつ撮られるというシーンがある。
金子「ああいう撮り方をするのは、日本映画ではぼくだけ。現場でこの人うまいなと思うんだけどかわいくないとき、女優さんがむくれる。何でNGなのかと。演出はお芝居をきちんとしなきゃいけない。でもうまいからといってかわいくないと見たくなくて、その場合NGの理由を伝えるのが難しいんですよ」
益田「でも私、顔があれだからもう1回って言われましたよ」
金子「正直に言うときもある(一同笑)」
最後に今後の抱負が述べられた。
田野「私は卒業発表して今年がリスタートだと思っていて。壁にあたるかもしれませんけど。舞台が好きなんですけど、今回主演させていただいて映像の難しさも愉しさもわかったので、映像も機会があったら全力でやっていきたいと思います」
益田「私もお芝居の機会が多くなってきて大好きです。先が判らない職業ですが、田舎の佐賀で過ごした20年間が、大好きが詰まった20年間でしたので、そういう自分をしっかり持ったままお芝居と向き合っていけたらなと思っています」
未浜「私はお休みがあったら1日に7〜8本見ちゃうくらい映画が好きで、自分が好きな映画に出られたら幸せだなって思うのでがんばります」
百合沙「私もAKBには落っこちゃったんですけど、ちっちゃいころから芸能界に入りたいと思っていて、いま一応夢が叶ってるんですね。幸せなんですけど、どんどん女優の仕事が愉しくなっていて、またみなさんの前で挨拶できるように頑張りたいと思います」
佐々木「私こう見えて剣道二段で、今年三段になる予定です。今回ダンスはクリアしたので、次はアクションに挑みたいと思います」
久田「私は元アイドルということを隠して、女優として再スタートです。私のことは書かずによろしくお願いいたします(一同笑)」
葉月「私はいま好きだったお芝居に向き合う時間が増えて、このきつそうな顔を生かして悪役をやりたいんですよ。あいつ出てきたら悪い奴だみたいな女優さんになっていきたいと思っています」
終了後、AKB48にならって監督と出演者らの握手会も行われ、もちろん握手してもらった。