【『THE FIRST』について (3)】
田崎「殺さなかったのは長石(長石多可男)さんたちの誇りでしょう。死なすのは簡単だったはずですよ。怪我が治る保証もなかった。リスクもあったけど。
俳優さんとスタントを分けたのは、あれ以来。それ以前の『マグマ大使』(1966)のゴアは大平透さんが(スーツに入って)演じていたし、宇津井健さんの『スーパージャイアンツ』シリーズも自分でやっていた。怪我はトラウマだったんじゃないかな。黄川田くんのライダーキックを見て、一周して役者がやるところまで戻ってきたなと。
『仮面ライダー THE FIRST』(2005)は長石さんの味がよく出ている。結晶、水滴とか長石さんらしい。藤岡さんのテレビ版は緑川博士の娘と付かず離れずで、純愛もうっすらあって。『THE NEXT』の怪奇もありました。暗くて何が映っているのか判らなくて、画面に自分の顔が見える(笑)」
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【『THE NEXT』について (1)】
『仮面ライダー THE NEXT』(2007)では監督が田崎氏に交代。哀感あふれる前作とは異なり、ホラー風味の強い作風となった。
田崎「『THE NEXT』で、今回はホラーだって。あのころはJホラーの盛りが過ぎたころでしたけど、昔のライダーにもホラー要素があって、それをいまふうにブーストするとこうかなと」
横山「脚本の井上(井上敏樹)さんはお父さん(伊上勝)がライダーを書いているんで、芯の部分はぼくらより詳しいんじゃないかな」
黄川田「『THE FIRST』のときから、次は次は?ってプロデューサーに言ってて。動き始めてたようですけど「できたらいいね」って(笑)。
『THE NEXT』での本郷猛はナビゲーターの立ち位置で、前回よりもインプット、吸収するお芝居をしよう。極力見えないように、なるべく抑えてと」
田崎「前半は本郷のアップを撮っていなくて後、ろ姿が多かった。そのほうが捉えやすかったですね」
横山「「きみはおれが守る」ってアップになるシーンは、くそ、かっこいいな(一同笑)。いま思うと下手なアクション。ちゃんと絵コンテを描いてなくて、ちょっと消化不良。東映はほかの作品より発注がギリギリ。言いわけだけど東宝の『K-20 怪人二十面相・伝』(2008)に比べても極端に遅くて、がんばって家に帰らずに準備して、そんな感じです。
事故があると、ドライバー大丈夫か、バイク大丈夫かって2つの心配が(一同笑)。バイクアクションは、いまはやりにくくなっていますね」
田崎「こないだ『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)を見てて、横山さんに時間とお金がたっぷりあれば、あれができる」
横山「トム・クルーズが120キロくらい出してるね。バカじゃないの(一同笑)」
田崎「トムは同い歳くらいですよ(笑)。いろいろ言われるけど、やっぱりすごいね」
『THE NEXT』では仮面ライダーV3(加藤和樹)が登場する。オリジナル版はテレビ第2作『仮面ライダーV3』(1973)。
田崎「加藤和樹くんは『仮面ライダーカブト』(2006)のドレイク、多人数ライダーのひとりをやっていて。彼はミュージシャンでもありアクターでもあるんですが、V3は誰かなって話していて、イメージとしては加藤くんかなと。本郷とも一文字とも違う。オリジナルのV3は主題歌が「父よ母よ妹よ」と唄っていますが、妹の死を乗り越えていく。背中に背負っている感じ。今回はV3の誕生譚です」
オリジナル版では仮面ライダー1号と2号がV3を改造人間にする手術をしているが、『THE NEXT』では変更されている。
田崎「『V3』では1号2号がV3を手術してるけど、本郷猛は医者じゃないものね」
横山「(『THE NEXT』では)本郷がV3を精神的に手術してる(一同笑)」
田崎「(クライマックスの爆発シーンで)1号と2号がV3を抱えて出てくるのは、ヒーローが生まれる手助けを本郷と一文字がしているという。
『カブト』は。いまとなってはいろんな若い俳優さんが結集していた。加藤くんは当時からオーラを放っていました。山本裕典くんは、当時は控え目で、ライダーを卒業してからぐいぐい来たけど。渋谷のCCレモンホールの加藤くんのライブに行くと、満員の女性客の中心にいるのが彼でした」
黄川田「ライブに行ったけど、すごいですね。俳優は台詞がないと、大勢の前に1分と立っていられない。でもアーティストは無言に耐えられる。加藤くんはやっぱり1分以上立っていられるんですね。「きょうは1号が来てます!」って言われて、バーンとスポットが来ました(笑)」
田崎「田口トモロヲさんは『小さき勇者たち ガメラ』(2006)でお仕事して、その後です。トモロヲさんは本数がすごく多くて、その割にスケジュールはきつくない。『ガメラ』でも4、5日でした。でもキャラの濃さは撮影の日数じゃなくて、しっかり人生を感じさせる。バイプレーヤーとして優れた方ですね。そういう方に怪人はどうかとお願いして、愉しそうにやっていただきました」(つづく)
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