【藤子不二雄の原作アニメ (2)】
藤子原作の『怪物くん』(1981〜1983)では野沢氏が怪物ランドの王子・怪物くん役、肝付氏がドラキュラ役。
野沢「『怪物くん』の劇場版のとき、24個入りの最中を持ってったら、肝さんは甘いものが大好きでほとんど肝さんが食べた(一同笑)。「全部一気に食べた」って言うから「え、あれを一気に!?」」
『怪物くん』の主題歌は、オオカミ男役の神山卓三氏、フランケン役の相模太郎氏と肝付氏が唄っている。
肝付「主題歌は小林亜星先生が作曲でみんなで唄った。マコさんはすぐ終わったけど、あとの3人はなかなか終わらない」
野沢「音があると合わない。ないと合うのに」
肝付「遅れちゃうんだよね。それで(タイミングを)ずらしてやったら合った。」
野沢「亜星先生も、何十年やってて初めてだって言ってたね」
野沢「フランケンの相模さんは台詞がいつも「フンガ」だけで、つらかったみたい。あるとき叩かれるシーンで「フガいてっ」って。ちょっとやめてよって言ったら「おれも1個くらい言いたいんだ」って(笑)。怪物くんにやられて粉々になるシーンでも「フガ粉っ」(一同笑)」
肝付「『トムとジェリー』をやってるんだけど、台詞がない。ニャッとかウェとかで「いてっ」と言うと「日本語はやめてください」と(一同笑)」
やはり藤子原作の『ジャングル黒べえ』(1973)では、肝付氏が主演・黒べえ役。
野沢「脇役ってのもいいですよね」
肝付「マコさんは全部主役、ぼく全部脇役。主役は『ジャングル黒べえ』だけかな。主題歌は「肝さんどう?」って言われたけど、速くてとても唄えない。大杉久美子さんが唄って「ウラウラベッカンコ」って合いの手だけ入れて。おかげで印税が入ってきた(一同笑)」
【『銀河鉄道999』】
共演作のひとつの『銀河鉄道999』(1978〜1981)は社会現象となった大ヒット作。
野沢「肝さんとコンビ多いですよね。私がいつも親分で」
肝付「ぼくはいつもいじめられる役(笑)。イベントとかで「(野沢さんと)ご夫婦ですか?」って訊かれて。無関係です(笑)。
『999』では社長役かと思ったら車掌役(一同笑)。メーテルさん、哲郎さんと車掌は三角関係で、車掌もメーテルがほのかに好き」
野沢「でもメーテルがどう思っていたか(笑)」
肝付「メーテルは哲郎にキスしてて、負けた(笑)」
野沢「録音のとき、いつも池田(池田昌子)さんと呼ぶことはなくて。喫茶店で「ねえ、メーテル」「何、哲郎?」って。普段の会話もそうなんです。肝さんを車掌さんとは呼ばないけど(笑)」
999を模したミステリー列車が走るイベントもあり、野沢氏と肝付氏も何度も同乗したという。
肝付「『999』のころに、国鉄のイベントのミステリー列車で行き先はアンドロメダだって。ほんとかよって思ったけど。何県のどこなのか(目的地が)判らない」
野沢「あのとき、本物の車掌さんが「あぶない!」って言うくらい沿線に人がびっしりいましたねえ。
終点で “宇宙食” が出たんですけど、その箱を開けたらおにぎりふたつ(一同笑)」
肝付「ぼくは手で持ったとき、おにぎりかなって。あの重さはね。宇宙に行くなら軽くしないと。
目的地に着いて宇宙的な装飾があるかと思ったら、太鼓と笛で、日本と同じ。日本なんだけど(一同笑)」
野沢「アンドロメダは太鼓と笛とおにぎり(一同笑)」
肝付「そこで映画も上映したけど、冷房もなくて、あんまり暑いんで映写機も動かなくなって。みんなに招待券を配ってましたね。夏の日の想い出(笑)」
野沢「いまだにあの宇宙食の弁当箱はとってあります(一同笑)」
肝付「『さよなら銀河鉄道999』(1981)は最後に哲郎がすごく走る。あぶないなって。なかなかいいシーンでした。
録音のとき、野沢さんは(感極まって)声が出なくなって、プロデューサーが休憩しようって。ぼくはしっかりしてたけど(笑)。それを覚えてる。(番組が)始まるときは浮き浮きしてるけど、最終回は淋しい。厭なもんですね」
野沢「『怪物くん』も、最後に怪物ランドに帰るときに帽子とって「ヒロシーッ」って。いまだに思い出します。いっしょに帰ったよね?」
肝付「ぼく?」
野沢「いや、ドラキュラ(一同笑)」
肝付「帰った(一同笑)。王子さま連れて、4人で帰った」
【『ドラゴンボール』(1)】
『ドラゴンボール』(1986〜1996)では、野沢氏は孫悟空・悟飯・悟天の3役を演じている。
野沢「『ドラゴンボール』の悟空役は鳥山明先生が私を選んでくださって。私は、当たった作品はいつもオーディションでした。鬼太郎は水木しげる先生が、鉄郎は松本先生が選んでくださいました。悟空はしっぽがあってかわいいなって」(つづく)