前回につづいて今度は外国映画のベスト30です。
無意識に古いのを多く選んでいる。マイナー志向ではあるけれど日本編の偏りに比べれば、まだしも客観的なセレクトかと…。
大半がアメリカ映画になるかと思ったが、意外と他国の作品も選出できた。中国や韓国の映画がもっと入ってもいいのに、結局1本ずつになったのは不勉強のせいである。アジアの映画は(日本以外は)実はあまり見たことがない。
日本編と同じく外国編も一監督一作品とした。チャップリンは『独裁者』か『殺人狂時代』でもよかったが、彼のパントマイムの面白さが際立つ『黄金狂時代』に。 『スター・ウォーズ』シリーズも1本くらい入れたかった。
◎『黄金狂時代』(1925 アメリカ)
金鉱を探し求める男の冒険。笑いと淋しさが巧みにブレンドされた、チャールズ・チャップリンの傑作。
◎『舞踏会の手帖』(1937 フランス)
若き日のある一夜に出会った男たちに、逢いに行くヒロイン。しかし…。時の流れの残酷さは、いつの時代も同じなのか。
◎『皇帝の鶯』(1948 チェコ)
年若い皇帝が命の素晴らしさに気づいてゆく。チェコの人形アニメの巨匠トルンカによる感動作。
◎『素晴らしき哉、人生!』(1946 アメリカ)
クリスマスの夜に天使と出会った男(ジェームズ・スチュアート)。ベタだと思いつつラストで泣いてしまう。
◎『昼下りの情事』(1957 アメリカ)
世間知らずの女子音大生(オードリー・ヘップバーン)と苦みばしった大富豪(ゲーリー・クーパー)。ミスマッチに思えるふたりを描いた、愉快なラブコメ。
◎『めまい』(1958 アメリカ)
めまいに悩まされる私立探偵(ジェームズ・スチュアート)は、ある日、死んだ女(キム・ノヴァク)とよく似た人物を見かける。スローテンポな演出はやや古いが、映像感覚はいまなお新鮮。
◎『シベールの日曜日』(1962 フランス)
記憶喪失の男(ハーディ・クリューガー)と孤独な女の子(パトリシア・ゴッジ)。奇妙なカップルの悲劇を描き広く知られる名作。江守徹による日本語吹替版もあるそうで、ぜひ見てみたい…。
◎『ひまわり』(1970 イタリア)
第二次大戦に引き裂かれた男女(ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ)。いい映画なのに、なぜか泣けません(自分だけか)。
◎『激突!』(1971 アメリカ)
謎のタンクローリーに追いつめられる男(デニス・ウィーバー)の恐怖。当時24歳のスティーブン・スピルバーグ監督による衝撃作。後年のサメや恐竜より怖かった。
◎『わらの犬』(1971 イギリス)
平和主義者の主人公(ダスティン・ホフマン)が、暴力の衝動に目覚めていく。暴力肯定みたいな主張は賛同できないが、忘れ難い傑作サスペンス。
◎『小さな恋のメロディ』(1971 イギリス)
小学生のカップルが周囲の反対に屈せず愛をはぐくむ。本国よりも日本で愛されているそうで、日本人にアピールする何かがあるのだろうか。
人間の青年と妖精が恋に落ちた。切り絵を駆使した牧歌的な中に反骨精神も感じさせる傑作アニメ。音楽もいい。
◎『話の話』(1982 ソ連)
狼の少年、牛のなわとび、戦争の悲惨。ミステリアスなイメージが静かに炸裂する不可思議なアートアニメ。
第1作は、実はゲリラ的なアクション映画だった。シリーズが回を重ねるごとに完成度は下がっていく…。
◎『マイライフ・アズア・ドッグ』(1985 スウェーデン)
ペシミスティックな少年の成長をコミカルに描いた感動作。シリアスさと笑いとの融合が巧み。相手役の彼女もかわいい。(つづく)