故藤子・F・不二雄先生の代表作『ドラえもん』(小学館)は26年に渡って連載されており、雑誌に載ったまま単行本に収録されずに埋もれている作品が多々あります。
昨2005年からスタートした『ドラえもんプラス』(小学館)はそれらを復刻する、筆者のようなドラえもん好きには嬉しいシリーズ。
この3月に刊行された第5巻では「45年後…」(1985)のような心あたたまる佳作が収録されている一方で、怪作「イイナリキャップ」(1973)が読めます。
ドラえもんがイイナリキャップというひと組の帽子をを出しました。片方をかぶって命令するともう一方をかぶった者はその通りに動き、絶対に逆らえない(絶対に…)。かぶった動物は人間の言葉を喋れるようにもなるのです。当初は傍若無人なジャイアンに捨てられた飼い犬・ムクを操るために出したのでした。
のび太がキャップをイヌやネコでない動物にかぶせて試したいと思っていたら、空き地でなぜかライオンに遭遇!
さっそく言うことを聞くほうのキャップをライオンにかぶせます。のび太が調子づいてライオンにレスリングの八百長試合(自分と戦わせ、わざと負けさせる)などをさせていると、はずみでキャップが脱げてライオンが命令するほうを、のび太が言うことをきくほうをかぶってしまいました。
さあ大変!
ライオンの命令でのび太は家にライオンをつれていきます。そのさまを見たのび太のママが、
「へんな子ねえ。家におししなんか連れてきて」(え?) (つづく)