私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

2014-01-01から1年間の記事一覧

砂嵐へようこそ!・『ポルターガイスト』『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1)

若い人はもうご存じないかもしれないけれども、地上波のテレビがアナログ放送だった時代には、無数の白と黒の点がしゃーという音とともに現れるノイズ画面の流れることが頻繁にあった。いわゆる “砂嵐” である。無機質な画面と単調な音とは何となく無気味な…

三谷幸喜の “作家性” について・『国民の映画』

昨2013年には原作・脚本・監督を務めた映画『清須会議』が大ヒット、今年は作・演出を手がける舞台(再演含む)が目白押し、2016年には大河ドラマの脚本を担当することが発表されるなど三谷幸喜の人気ぶりは近年も相変わらずである。これほどの知名度を持つ…

石橋蓮司 × タナダユキ トークショー レポート・『四十九日のレシピ』(2)

【『四十九日のレシピ』をめぐって (2)】

石橋蓮司 × タナダユキ トークショー レポート・『四十九日のレシピ』(1)

『竜馬暗殺』(1974)、『赫い髪の女』(1979)などでの名演で知られ、近年も『アウトレイジ』(2010)、『大鹿村騒動記』(2011)など1年に5、6本もの映画に出演する精力的なベテラン俳優・石橋蓮司。今年も5本が公開されたほか、朝のテレビ小説『花子とア…

磯村一路監督 インタビュー(2002)・『群青の夜の羽毛布』

『がんばっていきまっしょい』(1998)や『瞬 またたき』(2010)などで知られるベテラン・磯村一路監督。磯村監督はインタビューなどで自身の創作を語る機会があまりないように思われるのだけれども、以下に引用するのは数少ないインタビューのひとつである…

女性万歳・磯村一路

1998年、ボートにかける女子高生たちを描いた、磯村一路監督の青春映画『がんばっていきまっしょい』が静かに登場した。愛媛のボート部を描いた傑作映画は、映画賞を総なめ。主演の田中麗奈を一躍スターダムにのしあげた。筆者にとってはオールタイムベスト…

円谷英二と真珠湾・『ハワイ・マレー沖海戦』『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』

69回目の終戦の日に『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(1960)を久々に見直してみた。この作品は、東宝の “815シリーズ” という太平洋戦争を主題にした連作のひとつで、特撮は円谷英二特技監督が手がけており、改めてその素晴らしさに感嘆した。

宝田明 × 星由里子 トークショー レポート・『ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』(2)

【『モスラ対ゴジラ』などの想い出】 星由里子さんは『世界大戦争』(1961)にて宝田明さんと初共演。世界中で核戦争が巻き起こるSF映画で、円谷英二が特技監督を務めた。監督は『太平洋の嵐』(1960)などの戦記映画で知られる松林宗恵。

宝田明 × 星由里子 トークショー レポート・『ゴジラ』『モスラ対ゴジラ』(1)

ゴジラシリーズ第1作の『ゴジラ』(1954)が公開されて、今年で60年。アメリカ版の『GODZILLA ゴジラ』(2014)も公開中で、この夏はちょっとしたゴジラブームの様相を呈している。池袋にて “大ゴジラ特撮展” が開催され、8月上旬に宝田明 × 星由里子のトー…

木皿泉 初心者のための主要作品レビュー テレビ編 (2)

3.『セクシーボイスアンドロボ』(2007) ロボットアニメが大好きなオタク青年(松山ケンイチ)と、七色の声を操る女子中学生(大後寿々花)。コンビを組んだふたりは、骨董屋店主(浅丘ルリ子)の指令で、不思議な事件に挑戦する。

木皿泉 初心者のための主要作品レビュー テレビ編 (1)

一話完結のテレビ『おやじの背中』(2014)は、巨匠シナリオライターたちがリレー方式で登板するという試みである。今後登場するのは、山田太一、池端俊策、三谷幸喜、井上由美子、木皿泉などの面々であるが、その多彩なライター陣の中で一、二を争うくらい…

東君平の連作詩・『へびとりのうた』『心のボタン』

詩人・童話作家・イラストレーターの故・東君平が遺した詩。

モノクロームの青春・東君平『二十一歳 白と黒のうた』『はちみつレモン 君平青春譜』

イラスト・グラフィックデザイン・詩・絵本・童話など多彩な作品を遺して、1986年に46歳で急逝した東君平。

和田誠 × 平山秀幸 トークショー レポート・『快盗ルビイ』(3)

『快盗ルビイ』(1988)以後の3本の和田誠監督作品(『怖がる人々』〈1994〉、『真夜中まで』〈1999〉)には、ラストのタイトルバックで出演者がひとりずつ再登場するカーテンコールがある。

和田誠 × 平山秀幸 トークショー レポート・『快盗ルビイ』(2)

【和田誠と伊丹十三(2)】 平山「ご両人とお仕事させてもらって、スタッフは40〜50人いるんだけど、スタッフから出てきたいろんなアイディアに伊丹監督はまずクエスチョンをつけて、スタッフの言うことを疑ってかかる。これは悪い意味じゃないですけど。

和田誠 × 平山秀幸 トークショー レポート・『快盗ルビイ』(1)

イラストレーター・エッセイストなど多彩な活動で知られる和田誠は超絶映画マニアで、1980年代から90年代には映画監督としても作品を発表している。6月、『和田誠シネマ画集』(ワイズ出版)の刊行を記念して、池袋の “新文芸坐” にて特集上映が行われ、和田…

対談 実相寺昭雄 × 富岡多恵子 “映体と時代 映像の現場から”(1974)(3)

【 “かたち” と気持主義】 実相寺昭雄監督は、俳優が演じる役のキャラクターがどんな気持ちなのかを気にすることに関して非難していた。以下の件りでは、そこが改めて強調されている。

対談 実相寺昭雄 × 富岡多恵子 “映体と時代 映像の現場から”(1974)(2)

【映画と徒弟制度】 実相寺監督は、自分と合うスタッフを集めて “コダイグループ” を率いた。自身では、その組織体のありように疑問を抱いていたようである。

対談 実相寺昭雄 × 富岡多恵子 “映体と時代 映像の現場から”(1974)(1)

テレビ『ウルトラマン』(1966)などで知られる故・実相寺昭雄監督は、1970年代にATGで自主制作の映画を撮っていた(『実相寺昭雄研究読本』〈洋泉社〉参照)。そのころに詩人・小説家の富岡多恵子氏と「現代詩手帖」1974年10月号にて対談している。タイトル…

山田太一講演会 “時は立ちどまらない” レポート(3)

【子育てについて(2)】 子どもといっしょに暮らしているだけで、すごく影響を与えてると思うんですよね。年上の男、年上の女がどういうものか、いるだけでどういう矛盾、どういう悪いところがあるか伝わってくる。夫婦で「死ね」とか罵り合ってても、1時間…

山田太一講演会 “時は立ちどまらない” レポート(2)

【生きるリアリティ (2)】 どっちか選ばないと、飢える、死ぬ、殺されるっていう社会だとほんとのことが見えてくる。でもそうでないとどんどんリアリティがなくなってくる。たしかに夢を描ける装置のおかげで、どれだけ助かってるか判らない。でもぼくたちの…

山田太一講演会 “時は立ちどまらない” レポート(1)

脚本家の山田太一先生の講演会へ足を運ぶ。“ゆっくり子育て講演会” という触れ込みだが、子育てなど終わっていそうなご年齢のお客さんが多かった。それゆえか、子育ての話も出たけれども、大半は時代の批評のようなお話であった。

関本郁夫 × 高田宏治 トークショー レポート・『極道の妻たち 死んで貰います』(2)

【『極道の妻たち 死んで貰います』(2)】 高田「『極妻』シリーズは女主役で、でも男も立てなきゃならないから時間が長くなっちゃう。彼は上手い。ぼくは彼が大好きで、彼が××さん(脚本家)とやったとき、何でぼくにやらせてくれないかと嫉妬したんです。

関本郁夫 × 高田宏治 トークショー レポート・『極道の妻たち 死んで貰います』(1)

映画『極道の妻たち』シリーズと言えば、やくざのおかみさんを主人公にした人気シリーズ。その主役としては1986年から1998年まで10本中8本に主演した岩下志麻のイメージがやはり強いが、98年に岩下シリーズがひと区切りした後、翌99年から高島礼子主演で新シ…

向田邦子終戦特別企画(演出:久世光彦)全作品レビュー (2)

3.『蛍の宿』(1997)脚本:山元清多 蛍の宿 [DVD] 岸恵子 Amazon 海辺の町・風の浦で遊郭を営む母(岸惠子)とその娘(清水美砂、田畑智子 )。あるとき、航空隊の士官(椎名桔平、山本太郎ら)が店に現れた。特攻隊として死を目前にする男たちと女たちの束…

向田邦子終戦特別企画(演出:久世光彦)全作品レビュー (1)

故・向田邦子の遺した小説・エッセイをもとに、1985年から2001年まで継続した “向田邦子新春シリーズ” 。そちらと並行して、同じTBSのスペシャルドラマ枠で1995年の夏に “向田邦子終戦特別企画” がスタート。新春シリーズと同じく向田作品からヒントを得て創…

野沢尚 インタビュー(1997)・『青い鳥』『破線のマリス』(3)

【シナリオと小説 (2)】

野沢尚 インタビュー(1997)・『青い鳥』『破線のマリス』(2)

【新作ドラマ『青い鳥』 (2)】 これは制作発表でも言ったことなんですけど、豊川(豊川悦司)氏が演じるのは平凡な男なんです。長野の特急が停まらない駅の駅員さん。非常に平凡な人生を送ってきた。それが人生をやり直したいと思う。とりたてて悲惨な日々を…

野沢尚 インタビュー(1997)・『青い鳥』『破線のマリス』(1)

脚本家・小説家の野沢尚氏が逝ってこの6月で丸10年。野沢氏は1997年に『破線のマリス』(講談社文庫)により第43回江戸川乱歩賞を受賞。その年の秋から、脚本を手がけたテレビ『青い鳥』(1997)が放送された。

小山内美江子講演会 “地球市民としてともに生きる” レポート(2)

【国際ボランティアとカンボジア (2)】 戦争が終わると賠償がある。でも戦後のカンボジアは、お金は復興に使ってくれと賠償請求を放棄してくれた。そして日本にお米も送ってくれました。あのころのカンボジアは体制がしっかりしていたんですけど、あの後で内…