私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

対談 澤井信一郎 × 金子修介 “アイドル映画の撮り方”(2003)(1)

 『野菊の墓』(1981)や『Wの悲劇』(1984)、『早春物語』(1985)などで知られ、2021年に逝去した澤井信一郎監督。澤井氏は若い役者が主演の作品を撮ることが多かったが、金子修介監督とアイドル映画について語り合った対談があるので以下に引用したい(金子氏も『1999年の夏休み』〈1988〉や『ゴールド・ボーイ』〈2024〉など若者メインの作品が多数)。

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野村正昭が隠棲していたころ

 さまざまな映画監督の若き日を追った『デビュー作の風景 日本映画監督77人の青春』(DU BOOK)は優れたルポルタージュだが、その著者・野村正昭がかつて、仕事が厭になったなどと記していて何となく印象に残っていた。調べてみると2007年に季刊誌「映画芸術」に載った一文であった。

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広岡由里子 × 犬童一心 × 尾形敏朗 トークショー(市川準監督特集)レポート・『BU・SU』『東京兄妹』『トキワ荘の青春』(3)

【桜子の人物造型】

犬童「(『BU・SU』〈1987〉では)高嶋(高嶋政宏)さんと富田(富田靖子)さんに比べて、広岡さんのやっている桜子はあっけらかんとしていますね。あのふたりははっきり挫折して人生の底辺ですべてに不満を持っているようですが、そういう青春と関係ないところで広岡さんはひとり愉しそうに見えます」

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