私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

寺脇研 ブログ “人生タノシミスト”(2008)(4)

 2008/6/24 喜びと生きがいを

 秋葉原の無差別殺傷事件。このコラムを読んでいる方の中には犯人と同じ年代の人も多いでしょうが、どう感じましたか?

 どんな理由があっても殺人や傷害が許されるものではありません。しかし、犯人が発信していた携帯サイトの書き込みを読むと、この社会の在り方を真剣に考え直してみる必要があるように思います。若者が、自分の将来に簡単に絶望してしまうような社会が、いいわけはありません。

 今度の事件の犯人だけが異常なのではないでしょう。不確実な身分に置かれて働いている若者の中には、不満を抱えている人も少なくないのではないでしょうか。最近週刊ヤングマガジンで始まった古谷実の新しい漫画「ヒメアノール」に登場するのも、そうした若者たちです。いや、若者でなくても、わたしの友人で派遣社員をしている五十代の女性は「犯人の気持ち、なんかわかるなー」とメールしてきました。

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寺脇研 ブログ “人生タノシミスト”(2008)(3)

 2008/4/15 『靖国』 違いを認め合うために

 ここのところ、他の話題が続いて映画の話から遠ざかっていました。その間に起こった騒ぎがドキュメンタリー映画靖国』。2ヶ月近くメディアを賑わせた末、ようやく公開されました。多数の映画館が公開を見送った中、うちでやると名乗りをあげたのが渋谷・東急bunkamura前のシネアミューズ。東京で4つの映画館が上映を見合わせたにもかかわらず引き受けたことに敬意を表したいところです。

 当然とはいえ初日から満席の盛況だといいます。わたしは、『靖国』をあまり大した映画だとは評価しません。政治的主張が強い、と一部国会議員が騒いでいるのとは真逆に、はっきりした主張が感じられず焦点がぼやけていると思います。靖国神社の問題を真剣に考えようとするなら、この映画を観るだけでは不十分でしょう。他の映画や本で知識を得て初めて、問題の本質が見えてきます。

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寺脇研 ブログ “人生タノシミスト”(2008)(2)

 2008/3/11 教育への思い

 社会や教育の在り方について考えようという人々が集まる会に、いくつか参加しました。2月23日には千葉県の松戸市で、子どもに本の読み訊かせをしているグループが中心になった市民が集まりました。テーマは、「ゆとり教育」について考えることです。実際にお子さんを学校へ通わせている方々が多く、熱心にわたしの話を聞いてくれました。3人の子を育てているという父親と母親がまだ抱っこされている一番下のお子さんを連れて聴きにきてくれたのは、とてもうれしいことでした。

 中には、団塊世代だという年輩の男性もいて、自分たち世代が子どもたちのためにできることは何か、と問いかけてくれました。そう、仕事の負担がなくなり、身体はまだまだ元気な五十代後半から六十代にかけての団塊世代の皆さんが、地域で子どもと積極的にかかわる活動をしてくれたなら、どんなにすばらしい結果になるでしょうか。

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寺脇研 ブログ “人生タノシミスト”(2008)(1)

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 元文部官僚で、教育評論家・映画評論家としても活動する寺脇研。近年は映画『戦争と一人の女』(2013)や『子どもたちをよろしく』(2020)のプロデュースも手がけている。

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山田洋次と横尾忠則・『男はつらいよ お帰り 寅さん』

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山田洋次映画に横尾忠則の名前が混じっては困ると彼が本能的にガードしてるんだなって。それでも、どこかで山田さんから「あのアイディア、とてもいけると思いましたから使わせてください」と挨拶があるはず、と期待してました」(「週刊ポスト」2020年1月17・24日号)

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