私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

大山のぶ代 インタビュー(2003)・『ドラえもん』(2)

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 この間、荷物の整理をしてたら先生の直筆の年賀状があったんです。鉛筆で全部書いてらっしゃるの。それも良い和紙で。これを額にしようと思って、鏡台の前に置いてあるんです。ステキですよ。ほんと、宝物です。

 楽しいことは、それこそ毎日楽しいことがいっぱいだったから、どれって言えないくらい。スタートして1年目に視聴率がトップになった時に、ジャイアンジャイアンのママや、みなさん全員で函館へ旅行したんですよ。「ハ」の字がつくから、今度視聴率とったらハワイかな?! ってみんなで喜んでたら箱根だったりとかね(笑)。

 とにかく日々が全部ね、マンガなんです。

 

——5人の声優さんが、一緒に25年続いてらっしゃるのもスゴイ! ですよね。

 

 「継続は力なり」って言うけど、本当にこの25年間、ジャイアンスネ夫のび太くんもしずかちゃんも、全員5人とも同じ人間が一緒にやってきたという、そのことがすごいことですよね。

 今から26年前にテスト版を録音したときのメンバーでスタートしたわけですけど、新人とかではなくて、その当時の声優さんのトップが集まったんですよ。トップということは、業界に長くいて歳をとってるってこと(笑)。その歳をとったのがそのまま25年続けてる。これはホント、ギネスだねって笑うんですけど。

 みんなの平均年齢が60ウン歳(!)になって、しずかちゃんが何年か前に還暦を迎えて(笑)。ちょうどお誕生日に、みんなでハワイに行ってたんです。「じゃあ、今日はいいレストランでご飯食べて、ハッピーバースデーをやりましょうよ」って、きれいな花火がピカピカついたケーキが出てきたの。そして、はにかみながら「わたし還暦」って言って、ケーキのろうそくをフッと吹き消し……みんな大笑いですよ。

 で、その間に、スネ夫くんには孫ができました(笑)。

「オレは、この子が小学校あがって何年かたって「スネ夫の声、私のおじいちゃんよ」って自慢できるようになるまでがんばろうと思った」って。

 それでもまあ、自分が姿形を出してる番組だったら、25年は続きませんよ。みんな、こんなになっちゃうワケだから(笑)。でも、それが“声”というおかげで続いていて、常日頃はお互いに歳をとった中年の、というか、老年の、年金をいただける年代になって、それでまだお仕事して。それが、いざスタジオで、マイクの前でしゃべりだしたら、みんな小学校5年生になっちゃう。

 

——HPにも、「変わらない声でうれしい!」というおたよりが多かったです。

 

 声って変わらないんですよね。私の場合、もともとドラ声だったからそのままで、ただ「おもしろい。わー、楽しい」ってやってきた。なんといっても、日本中の子どもより一番先に全部見られるわけでしょ? 声入れながら、「おっかしいー」とかみんなでワーワー笑って、ギャラをいただくんだから、こんなうれしいことないです。

 ただ、25年の間には、いろいろありましたよ。まず、のび太くんがピタッと声が出なくなっちゃって、もう大変な思いをしたんですよね。それが無事に戻ったら、今度はスネ夫くんの声帯が傷ついて、手術した。半年間入院したんです。

 そして今度しばらくしたら、ジャイアンが草野球で足を折って来れなくなっちゃって。ジャイアンらしいわね、なんて言って一週、二週待って、足を固めたまんまで来て録音して。

 みんなひと通りやったけど、しずかちゃんとドラえもんだけは、どっこも悪くなくて「丈夫ねえ、私たち」なんて言ってたら、一昨年しずかちゃんが腰痛で(笑)。小学校5年生が腰痛っておかしいでしょ?

 で、とうとうしずかちゃんもきたって言ってたら、一昨年わたしが入院しちゃって。あの時は、関係者やファンのみなさんが「がんばれ!」と応援してくださって、本当にありがたかったです。

 

——では、25周年を迎えるにあたっての抱負をお願いします。

 

 そうですね。あと5年はがんばれるかもしれないけど、10年というと、みんなが70代になっちゃうし、そうなったときに果たして……と思うときはあります。

 いつかは、ドラえもんを素晴らしく、もっと楽しくできる方たちに全員で譲らなくちゃという時もくると思うんですね。今はがんばりますけど、いつかはって思ってる。ドラえもんをきちんと理解して、そしてドラえもんのやさしさを出してくれるような、そんな人にやって欲しいなと……。

 でも、不思議に声って変わらないで出てるんですね。だからみんなで「杖をついてしまうようになってしまってもがんばろうね」って言ってます。25年やったんだから、30年も35年もがんばりますよ!(笑)

 

——これからもずっとずっと、お元気でがんばってください!! 今日は本当にありがとうございました!

 

以上、“ドラえもんチャンネル”より引用。 

ぼく、ドラえもんでした。 (小学館文庫)

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