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河崎実監督 インタビュー(2008)・『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』

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 北海道に宇宙怪獣ギララ出現。札幌を破壊しサミット開催中の洞爺湖へ迫るギララに、各国首脳陣はあの手この手で挑戦するが、全く歯が立たない。だがスポーツ紙記者(加藤夏希)や地元の村人たちによる祈りが通じて、伝説のタケ魔人(ビートたけし)が復活した。 

 2008年に行われた洞爺湖サミット。時期に合わせて映画『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』が公開された。

 その際に河崎実監督がインタビューに応じており、面白い内容であったのに、掲載しているサイトがなくなってしまったので以下に引用したい。 

 怪獣映画は日本の伝統芸能。怪獣とヒーローの戦いは永遠のものだと思います

――本作の目的は近年廃れてしまった怪獣映画の復権を狙ったそうですね。

 

 ええ。そうなんです。最近のいくつかの怪獣映画がよく分からないまま失敗して、世間からダメの烙印を押された。妖怪はいいっていうんですよ。女性が観に来るから(笑)。怪獣映画に女性は来ない。怪獣はビル壊すし、ダサイって思われがち。怪獣映画って日本の文化なので、今回を機にずっと撮り続けていきたいんです。

 

――『ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発』にはノスタルジーも感じられました。

 

 あえてそれも狙ったんです。いまは最初からCGで撮ろうとするので、当時のような味わいが出ない。セットに行っても何もない。特撮も部分的に撮るし、爆発だって全部CG。今回は全部ナマで撮りました。歌舞伎や文楽は残っているのに、怪獣映画だけが廃れていく。1本作ると数億円かかるから、二の足踏むのは分かりますが――。

 

――着ぐるみを着たスーツアクターが活躍する映画って温もりがありますよね。

 

 手作り感覚のね(笑)。外国人の方が歌舞伎や文楽が好きなように、怪獣映画だって支持されている。実相寺昭雄監督のスタッフが言われたことですけど、怪獣映画は日本の伝統芸能ですよね。セットでビルを作って壊す。あの感覚は男の子の正常な欲求で命のパワー。怪獣とヒーローの戦いは永遠のものだと思いますけどね。

 

 僕はプロデューサーも兼ねているので、ただ撮ればいいってものでもない 

――河崎監督のキャリアからすると、もう少し早い段階で怪獣映画があってもと思いましたが――。

 

 そもそも映画製作は億単位の資金を投入したギャンブル的な意味合いもあるので、それこそ怪獣映画っておいそれとは撮れない企画ではありましたね。だからこそ“安く、早く、楽しい映画を撮れる”河崎実が苦労して撮りました(笑)。当てようとしています。これが当たらないと、本当にどうしようもないんです(笑)。

 

――作風から生まれているイメージとは違って、河崎監督にもプレッシャーがあると?(笑)

 

 そりゃそうですよ!(笑)。監督なんて名乗っている人種はみんな同じ(笑)。僕もあの映画、この映画って、ハズれたら笑っていたりするけど、心中は察するし、大変な重圧、ショックは理解しますよ。プロ野球の監督だって憧れの職業ですけど、負けが続けばモチベーションも下がるでしょう。胃も痛くなりますよ(笑)。

 

――1年に3本を撮るノルマを課しても(笑)、映画監督という職業は楽しいですか?

 

 楽しいけど、キツイですよね。年に3本撮るのが目標じゃなくて、撮らないと食えないから(笑)。大変な思いを必ず作品ごとにしてますからね。雨が降っただの、徹夜だの、赤字だの(笑)。僕はプロデューサーも兼ねていますので、ただ撮ればいいってもんじゃない。自分で売る努力をしないといけないんです。

 

 水野晴郎さんの訃報はショックでした。このままでは恩返しできなくて―― 

――怪獣映画の復権という高い理想を掲げながら、河崎映画のテイストも変わらずスパークしてますね。

 

 結局、怪獣映画をマジメに作ってしまうと、お客さんがついて来ない。マジメに撮ると、マイナー映画になる。その時代の風俗や世相を反映するのが怪獣映画なので、本気で撮ったらダークでシリアスになりますよ(笑)。あまり多くは言えないですけど、いろんなカラクリを駆使して低予算で撮って娯楽性を追求しています。

 

――また、豪華ゲスト出演陣も話題ですね。本作は水野晴郎さんの遺作にもなりました――。

 

 ええ。残念ですね。驚きました。このままでは恩返しができなくて、僕の映画が遺作だなんて、申し訳ない気持ちでいっぱいです。『シベリア超特急』をヒントに「ギララ・ガッパ超特急」を作ろうかと思ってて、まるで意味が分からないんですけどね(笑)。生前の水野先生とは、そんなふざけた話もしていましたが……。

 

――怪獣映画を撮った夢を叶えた現在、今後の河崎監督の目標は何でしょうか?

 

 “若大将”シリーズを撮りたい。俳優がいないけど(笑)。後は巨人軍をよみがえらせたいかな。それと『いかレスラー』から始まったぬいぐるみシリーズ。(笑)。人形劇やぬいぐるみ、それと青春映画。「若大将の逆襲」って考えたんですけど、70歳過ぎた“若大将”がまた大学に入ってモテモテ! 楽しくないですか(笑)。(取材・構成・撮影/床板京平) 

 

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