私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

山田太一「向田作品のきらめき」(1981)

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 1981年から82年にかけて『向田邦子TV作品集』(大和書房)が刊行された(『阿修羅のごとく』『幸福』『冬の運動会』『家族熱』『蛇蝎のごとく』)。

 そのフライヤーを入手したので、以下に引用したい。脚本家・山田太一が短文を寄稿している。

 

 死してなお人々に読みつがれ語りつがれる作家の原点とも言うべき本作品集は、一年前から計画されていたものである。千本を越える作品群のなかから著者自身が選りすぐった傑作を五巻に編集した。不幸にして追悼出版となってしまったこの珠玉の作品集を、向田さんの霊と全ての愛読者に贈りたい。

 

 向田作品のきらめき  山田太一

 向田さんが亡くなって、とても親しいというほどではなかったのに、哀惜の思いが、こんなに永く消えないのは、作品の魅力という他はない。向田さんが見つけてくれなければ、誰もその香りに気がつかなかったであろう日々のかけらのようなものが、まだまだあるはずなのに、と今でも突然欠落感が横切ることがある。

 私はこの作品集のドラマを全部見ていることに改めておどろいている。敬服していたのである。新しい作品をもう決して見ることが出来ないのだから、残してくれたものをくりかえしたどって、見落としていたきらめきに気がついたりするしかないではないか。 

冬の運動会

冬の運動会

阿修羅のごとく

阿修羅のごとく

家族熱

家族熱