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松井周 × 石橋静河 × 濱田明日香 トークショー レポート・『ビビを見た!』(1)

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 大海赫の傑作童話を舞台化した『ビビを見た!』(2019)。唯一無二の原作世界にさまざまな趣向・技巧を駆使して挑戦しており、原作の読者としてああこうなるのかと素直に感嘆した。

 公演後にビビ役・石橋静河、脚本・演出の松井周、衣装の濱田明日香の各氏のアフタートークがあった。聞き手は、ファッションエディターの西谷真理子氏が務める(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。 

ビビを見た! (fukkan.com)

ビビを見た! (fukkan.com)

石橋「汗だくでお風呂上がりみたいに(笑)」

松井「ぼくは基本的には衣装っていうことよりも何らかの要素って考えていまして。美術にしても光にしても俳優にしても衣装にしても、ある風景の中にあるもので、ひとつピックアップするとかフォーカスするというよりも全部が等価で風景の中にあるという感じが好きです。なるべく人と物とを区別しないようなことに興味があって。濱田さんの個展を見たらテーブルクロスに袖がついてるとか、梯子が服になってるとか、面白くて。ぼくはこういう人の服と作品をつくれたら面白いと思ったし。

 今回は独特なイメージの絵本をもとにしてるので、強烈なイメージの人といっしょにやるのが合うんじゃないかなと。見て一瞬で、この人に声をかけていただきたいと小沼さん(小沼知子プロデューサー)に言いました。パンフレットに描かれているのでわかると思うんですけど。版画なんですけど、独特の世界で、いつもと違う感じで行ってもいいんじゃないかなと思いました」

 

 濱田氏は普段ドイツを拠点にしているが、今回のために横浜に滞在しているという。

 

松井「朝から晩まで稽古の間(笑)。ミシン部屋が用意されていましたね」

濱田「(ドイツから布地を持ってきたのは)横浜の土地勘がなくて、どこに布屋があるのか、どんな布があるのかわかんないし、全部ドイツで買って持ってきたんですけど(笑)。松井さんがいまおっしゃったように、物の境界線をつくりたくないっていうことで。結構最初の段階からミーティングに入れていただいて、舞台美術や衣装はどうしようみたいなところから参加させていただいたので、すごく考えやすくて面白かったです」

松井「(パンフレットやフライヤーにある6人の俳優の衣装は)それはフライヤー用なんです」

濱田「その撮影のときは役者さんに会えるチャンスで。普段は服が先でそれに合うモデルさんを呼んできてという形でやっているのですが、既に役者さんが決まっていてその方に沿った服ということで。(会って)イメージをふくらませていったという感じですね。

 各キャラクターを掘り下げて、特徴、個性をどう服で表そうかというときに、ネクタイのついた男の子はきっと甘やかされて育っていて、ぐずるときに長い袖が揺れると面白いかなとか。師岡(師岡広明)さんがうまく使ってくださって」

松井「ぐるぐる回してますね」

濱田「(笑)服があってそこから発想していただいた動きで、ビビもそうですけど。シフォンの羽根が綺麗になるように、かわいく動いてくださって(笑)。役者に活かされている感じがして愉しいです」

石橋「布の色合いがほんとに綺麗で、ベルリンから持ってこられたものだからなのかな。発色が違うなって思いました」

濱田「(日本のものと)どちらがいいというわけじゃないですけど、色出しが違うっていう。ステージがグレーっぽいイメージというのは判っていたので、そこにどう色を挿していって絵的なものをまとめるかみたいな。メインキャラクターはぱっと目に入る色で、全身一色みたいにつくりこんでいきました。いろんな役をしているアンサンブルの6人の方は、絵本に具体的に出てこない役なので考えやすかったです」

松井「この作品ではパニック情況をつくりたくて、12人ぐらい出ないんだけど、群衆が出て人が変わって場所もどんどん変わっていくので、何にでも変身できるような服がありますかとか。負荷がかかるような服。布1枚で群衆がつながっているイメージを濱田さんが出してくださって、みんなで1枚の布を着てそれでつながっているようなイメージを濱田さんが出してくださって、そういう発想を最初から共有していたんですね」

濱田「舞台美術でも具体的に、四畳半っぽい部屋みたいな案とかが出た後、最終的にはジャングルジムや平均台を部屋や列車にに見立てるというのに落ち着いて。ずばりそのものじゃなくてもいいってことで、衣装も考えやすくなりました。映像作品ならお母さんは昭和のお母さんらしい格好をしていないと違和感があると思うんですけど、舞台ならではの見立てによって、衣装にも遊べる要素があったと思います。ワカオも試行錯誤でした」

 

 巨人・ワカオは、主に布で表現される。

 

松井「試行錯誤だらけと言いますか、石橋さんも困ったんじゃないかと思いますけど」

石橋「(笑)」

松井「ワカオっていまどこらへんにいますかとか、どこらへんに目線送ればいいですかとか。結構みんなで考えて、いろいろ出し合いましたね」(つづく)

 

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甘い服

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