私の中の見えない炎

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小林靖子 インタビュー “「かっこよさ」にこだわりたい”(2002)

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 テレビ『未来戦隊タイムレンジャー』(2000)や『仮面ライダー龍騎』(2002)、『仮面ライダー電王』(2007)などで人気を集め、最近もネットドラマ仮面ライダーアマゾンズ』(2016〜2017)や映画『映画刀剣乱舞』(2019)、アニメ『どろろ』(2019)などで評価の高い脚本家・小林靖子。その小林が『仮面ライダー龍騎』のヒットで注目を集め始めた時期のインタビューを以下に引用したい。このネット記事はいまはなくなっている。文中の『特捜ロボジャンパーソン』は『特警ウインスペクター』の誤りかと思われる(用字・用語は統一した)。

 

 『秘密戦隊ゴレンジャー』世代ですから、戦隊シリーズもよく見ていましたが、小学生になると、時代劇や刑事ドラマの方が好きでしたね。時代劇なら必殺シリーズ、刑事ものは、ちょうど『Gメン』や『あぶない刑事』などに憧れてました

 

 すごく変なんですけど、好きなテレビ番組を頭の中で、勝手にイメージするのが好きだったんですよ。自分がドラマの中に入ったつもりで話を作っていくんです。例えば、刑事ドラマが好きだったので、私が刑事になってあの中に入ったら、こういう話で…と、登下校中に想像するんです。想像を表現するのに、小説だとどうもまどろっこしい。常に映像派でした

 

(シナリオという形式を中学生で)これはいいかもしれないと思って、脚本家を目指したのが最初です。映像派だったので、今考えると監督でも良かったのかもしれないけど、たまたま最初に触れた表現方法がシナリオだった

 

(会社員時代に)たまたまテレビをつけたら、『特捜エクシードラフト』という番組をやっていたんですよ。後で聞いたら、予算不足が理由だったらしいですが、戦う相手が怪人じゃなくて人間。それをロボコップみたいな刑事のヒーローが逮捕するストーリー。ちょうど好きだった刑事ものの要素があったので、「あれ、今のヒーローものってこういう感じなんだ」と意外に思うと同時に、これならやってみたいな、書きたいな、と思って。早速、初めてシナリオを書いて、初めて送っちゃったんです

 

 デビュー作の撮影現場を見せてもらった時、何十人もいるスタッフが、私が書いた台本をおしりのポケットに差して仕事をしているのを見て、大変なことをしてしまったと。自分が書いたものが映像になってテレビに流れるというのは、例のごとく頭の中ですでに想像していたので、その感動よりは、これだけ大勢の人が撮っているということの方が印象に残っています

 

 視聴者という点では、子供さんをいつも考えてはいます。でもどうしても、自分が嘘っぽいと思うものを提供しても…という気がしてしまうんです。自分がかっこいいと思えて、納得ができ、プロデューサーと監督さんが満足できるものを考えて作っていますね。伏線については、わりとおおざっぱな性格なので、最初からち密に結末を決めて伏線を張るのではなく、あちこちに伏線を張っておいて、後でシナリオを書きながら、使えそうな所を拾って行くという感じなんです

 

 子供番組こそ、お互いを大切に思う気持ちや、愛し合うことで子供が生まれるということを描くべきだと思っています。そういうことをタブー視する現状だと、隠れて見るエッチな雑誌で初めて、愛情抜きのセックスに触れることがほとんど。その結果、セックスとは単なる娯楽で、悪いことのようになってしまっていると思う。といって、ご大層な性教育をするつもりはありませんが、タイムレンジャーでは、お互いが大好きな男女がいて、結果その間に子供が誕生したという、自然な成り行きを描いただけなので、周囲の抵抗も特にありませんでした 

時の逃亡者

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 例えば、素の自分の弱さを認めた上で、そこから立ち上がっていく姿。自分に正直な気持ちの上で、正直な行動を突き進んでいくのは、私はかっこいいなあと思います。「美学」みたいなものがたまに出てくると、かっこよく見てもらえるのじゃないかと。特に私は見栄っ張りなんで、絶対弱い所は人に見せられないタイプ。だから、ヒーローたちは逆であって欲しいなあって

 

 ドロドロにかっこ悪い、というのは龍騎からです。これまでは、どちらかというと、計算した、後で逆転できる弱さばかりでしたね。たまたま今回の龍騎が2人ライター体制だったので、この弱さは他のライターが出したものだったんですが、なるほどと。そこまで弱さを書いてしまってもいけるのかも、意外に人間的な幅が広がるのかもと感じています。自分一人だと突き抜けきれなかった所を、他の方が突き破ってくれて良かったと思っています 

仮面ライダー龍騎 Blu‐ray BOX 1 [Blu-ray]

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 たぶん才能とかではなくて、自分がその夢に向かって動くことだと思うんです。シナリオ教室に通っていた時も、あれをやりたい、これをやりたいとみんなが夢を語る。でも、実際に教室で出す課題をちゃんと書いてくる人は、10人いたら1人、2人なんですよ。私自身も、初投稿までは、シナリオライターになりたいと言いながら、一本も書いたことがなかった。でも、投稿したら動き出した。とにかくやってみる。そこが夢に近づける境目のような気がするんです

 

 普通の日常ドラマ、特に恋愛ドラマは苦手な感じがします。リアルじゃないかっこよさ、荒唐無稽ないわゆるB級みたいなものが、小さいころから好きなんです。ただ、ちょっと暗めの時代劇は、いつかやってみたいですね

 

以上、サイト “大手小町”より引用。