私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

飯島敏宏 × 桜井浩子 × 稲垣涌三 × 鈴木清 × 中野稔 × 小中和哉 トークショー レポート・『怪奇大作戦』(2)

f:id:namerukarada:20180827003802j:plain

【「霧の童話」(2)】

飯島「(『怪奇大作戦』〈1968〉は)子ども番組の時間なんですよ」

小中「子ども番組という意識はあったんでしょうか(一同笑)」

飯島「山で撮って日が沈んでくると、だんだん現場が峠のほうへ。狙ったんじゃなくて、日が暮れたら帰らなきゃなんない(笑い)。大変でした。みんな若かったからね」

鈴木「最後のタイトルバックもぎりぎりで、夕陽が沈むところとか、そのときまで仕事をやってました。真面目に(一同笑)」

飯島「ポリー、蒸気機関車が走ってたでしょ。蒸気をいっぱい出させると、馬力がなくなっちゃうんです。野辺山を登れなくなる。1日1本ですから、チャンスがない」

小中「『怪奇』は地方のシーンになると、蒸気機関車が出てきますね」

飯島「実際にまだ走ってた」 

霧の童話

霧の童話

【「恐怖の電話」】

 第3話「恐怖の電話」の監督は実相寺昭雄。『ウルトラマン』(1966)や映画『哥』(1972)など、実相寺に気に入られて多数出演していた桜井氏がゲスト。

 

飯島「TBSの営業部は、実相寺作品はもう売らないよ、スポンサーに怒られるって(一同笑)。普通の会社ならクビですよ。映画部が身元引受人になって(『ウルトラマン』や『怪奇』を撮った)。テレビにはまだ力があったんですね

桜井「こういうことだったんだって初めて判りました(笑)。自分のところはともかく、森(岸田森)ちゃんとか勝呂(勝呂誉)くんとか、松山政路ちゃんも生き生きしてたし、画面が大きいからあのころの雰囲気がわっとくるんですね。原保美さんとかお元気で、泣きそうになっちゃった」

小中「最初の現場検証のシーンは、構図が目まぐるしく変わりますね。稲垣さんが手持ちで撮影されてたんでしょうか」

桜井「実相寺さんは決めない」

稲垣「ケースバイケースですね。(フレームの指定が)すごくうるさいときもあるし、ほったらかしのときも。現場検証は、初め30カットくらい割ってたらしいです。それが無理なんだーとワンカットに」

小中「どこでワンカットになったんですか」

稲垣「その日の朝ですね(一同笑)。やっぱりワンカットにしてみようと」

桜井岸田森さんとの共謀だと思いますね。森ちゃんはサクサクやっちゃう。松山政路くんを担ぎ上げるのとか、本番でやったね。びっくりしましたね」

稲垣「カメラは追いついてない」

桜井「私も暗い役だったのに、もう可笑しくてね(笑)。森ちゃんはワーッと動き回ったり、だからみんなは映らないようにわさわさと」

稲垣「梁の上にスタッフがいて、役者さんとぼくとピント合わせる人が下に。アフレコだからマイクマンはいませんでした。同録は「京都買います」だけですね。だから音は悪いですよ。それがリアリティーだって人もいますし」

桜井「実相寺さんは私に“台詞をぱしっと言わないでくれ。つぶやくように”って言ってました。

 あと何回も失神させられましたね、ひどい目に(笑)。監督は“失神するんだもんね”って」

飯島「日曜日の子どもの時間に、エロティシズムを追求する(一同笑)」

小中「『ウルトラセブン』(1967)のころからちょいちょいとんでもないのがありましたね」

稲垣「(ロケ地のタバコ屋は)小田急線の降り口くらいにあった。いまはもうないんじゃないですか」

桜井「失神した後で、終わったときに向こうの向こうのほうに実相寺っていうお寺がありました。不思議(笑)。こんな地べたで失神するのは厭だなと思ったんで、よく覚えてる。砂利なんだもん(笑)」 

恐怖の電話

恐怖の電話

【「京都買います」(1)】

 第25話「京都買います」は、実相寺監督の最高傑作とも言われる作品。第24話「呪いの壺」とともに、京都で撮影された。

 

稲垣「東京から行ったのは5人いました。池谷さん、助監督、大木(大木淳)さん。中野さんもあとから来たのかな。京都映画が集めた、フリーのスタッフとやりました」

小中「『怪奇』の京都2部作と実相寺さんの京都作品とは、作風が共通していますね」

飯島「ほぼATGだね(一同笑)」

小中「実相寺さんは『怪奇』で文法を確立されて、それで映画を撮られたのかなと」

稲垣「ご明察だと思います。『無常』(1970)ではもうTBSを辞めてますね」

飯島「フィルムのコマーシャルの内職やってましたね。それが繁盛して、いいかなと。CMで技を鍛えることもできた」

稲垣「実相寺さんはまさに奇人。飯島さんはただ怖い(一同笑)。われわれの世代はいい加減な人が多くて、自分もそうですけど、いい加減さを許さない。正論をぶつければ大丈夫ですけど、半端なことやると怒られる。小中さんなら大丈夫です」

鈴木「実相寺さんとは1本もやってないんです。あこがれの監督だったけど、1回くらいやらせてよって言ったら“次な”って、それでとうとう死んでしまいましたけどね。

 飯島さんは真面目な方なんで、こちらも真面目に答えないと怖さが出てくる。ぼくは真面目でしたから、そんなに怖くなかった(一同笑)」

稲垣「よくおふたりを比較して、実相寺さんは変化球で飯島さんは直球と言われますけど、両者変化球も持っています。

 「呪いの壺」はドリー移動を使ったんですが、「京都」はタイヤの移動車ですね。大きかったです。レールもふたつで、安定してました」(つづく) 

 

【関連記事】飯島敏宏 × 古谷敏 × 桜井浩子 トークショー レポート・『ウルトラマン』(1)

京都買います

京都買います