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なべおさみ × 満田かずほ監督 トークショー レポート・『独身のスキャット』(2)

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【キャリアの回想】

なべ三木鶏郎の事務所でものを書けって言われて、書いたら売れちゃった。電通の部長さんが仕事つけてくれちゃって、それで間違った方向に行って。昭和33年からやってたけど、35年から水原弘の付き人やって。2年8か月やって、その後はハナ肇のところに1年。希望は喜劇役者でした」

 

 なべ氏は、ハナ肇などとともに渡辺プロに在籍した。

 

なべ「渡辺プロっていう独断と偏見の強い、テレビの申し子みたいなプロダクションにいて。当時は紅白に19人くらい出していて、そういう事務所。ここにいたら腕がつかないって思いました。

 (『独身のスキャット』〈1970〉は)仕事だからやったんです。好むと好まざるに関わらず、強い事務所はどんどん入ってくる。自分では選べない。10年で辞めて出たら、当然干されますよ。

 企画もしましたけど、『麻雀放浪記』(角川文庫)とかも。コラムとか書いてたから双葉社に頼んで(原作の)阿佐田哲也さんに会ってOKもらって。これ映画にしましょう、スタンダード35ミリ、白黒で。終戦直後のガード下の雰囲気はカラーじゃ出ない。麻雀の決め手はハースピードでって話してたら、師匠のハナ肇が当時下降線で、ぼくは上昇。不興を買う。そういう企画はつぶされる。東宝のある監督がぼくをアメリカにつれてって空手の話をやると。勝負かけてみたら、師匠が東宝に乗り込んでアウト。寅さんの併映の映画『俺は田舎のプレスリー』(1978)、衣装合わせまで行って、台本覚えて役を組み立てようとしていたら撮影の連絡が来ない。師匠が乗り込んで、松竹に渡辺プロから出さないと言ってると」 

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 『長靴をはいた猫 80日間世界一周』(1976)など、アニメーションの声の仕事も多い。

 

なべ「『シャーロットのおくりもの』(1973)とか、吹き替えも多々やってます。NHKスヌーピーは、ぼくチャーリー・ブラウンですから。明大事件で降ろされまして終わっちゃいましたけど。

 『長靴をはいた猫』で印象的だったのは、声優さんがものすごくうまい。でも俳優に落ちこぼれた人ばかりで、意地が悪いの。営業的に(主役を)なべおさみとかにされると、他の人と雲泥の差がある、下手で。録り終わった後に行って、ひとりで徹夜して全部入れ換えました。交渉してね、やり直しました。そんな時代でした。でもほんとに上手。絵がなくて、当てなきゃいけないこともある。真っ白なところにこういうの出てきて、これ口、こっちがおれだと。大変でね、そういう技術は備わってなくて、往生しました。30倍くらい苦労しましたね。

 スヌーピーでは慣れてたんで大丈夫でしたけど。ぼくとE・H・エリックで警官のシリーズ吹き替えたこともあったけど、この野郎が下手で日本語がたどたどしい。アフレコするなって(一同笑)」 

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 1991年に、明治大学の替え玉事件があった。以後は苦境に立たされる。

 

なべ藤原釜足さんの言葉で“役者はピンとキリで生きろ。中は誰でもできる”と。だからうちを買うにしてもピンを選びました。

 平成3年からいままで、キリです。年間収入ゼロを6年間やったら、全部なくなりました。ピンもちょっと生きましたから、キリでもピンの精神を変えない。家売ったりしてない。こんだけ仕事しないで、何でこのうち維持できてんのって有名な人にも訊かれます。それは余計なことしないから。ピンを維持するために、キリで生きてる」

 

 『病室の「シャボン玉ホリデーハナ肇と過ごした最期の29日間』(イーストプレス)、『やくざと芸能界』(講談社+α文庫)、『昭和の怪物 裏も表も芸能界』(講談社)など旺盛な執筆活動もつづけている。『病室の「シャボン玉ホリデー」』は、リアルタイムの世代でない筆者の胸にも迫った。

 

なべ「映画や舞台から遠ざけられてるので、書くことで老けないようにと。(自分を)キープするために、書きつづけています。「週刊大衆」っていう女性が見られないような雑誌に書いてて、8月に本を出します。

 落ちようが浮かび上がろうが、嬉々として生きています。クリアな頭でものを書いていこうと。週刊誌が終わったら、2本目の小説書こうと思っています。映画のシナリオも1本あって。「月刊Hanada」には映画のことも毎回書いてます」(つづく) 

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