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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

飯島敏宏監督 × 古谷敏 × 桜井浩子 トークショー レポート・『ウルトラマン』『ウルトラマンマックス』(2)

テレビ

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 古谷氏は、『ウルトラマン』(1966)でウルトラマンが怪獣にとどめを刺すのにも、思いを込めて演じた。

 

古谷「怪獣を殺すのは、ぼくの演技プランとしては(ウルトラマンの)本意じゃない。怪獣を殺したくないというのが強い。ちょっとがまんして殺さなきゃいけないかなという葛藤があって、やってました」

 

 独特の猫背っぽいポーズには理由がある。

 

飯島「淋しいんだけど、古谷くんは背が高くて、ホリゾントは低いんで、あんまり背が高いと天井が見えちゃう。“お前、足切れ”と言ってて、それが撮影所の気質ですね」

 

 バルタン星人は、第2話と16話とではデザインが異なる。

 

飯島「みっともいい話じゃないけど、最初のバルタン星人は、セミ人間という前の(『ウルトラQ』〈1966〉で使ったスーツを)を使った。予算も厳しかったし、セミ人間を改造しました。後編ではデザイナーのデザインした通りのものをつくることができた。後編のほうがもとのデザインに近い。最初のはセミとザリガニを混ぜたものでした」

 

 バルタン星人の合成シーンは、特に豪快で印象深い。

 

飯島「(視覚効果の)中野(中野稔)さんはうるさい。合成に…」

古谷「(体を)ちょっと動かすと怒られる。その人たちで考えたスペシウム光線をいまも子どもたちがやってくれてる。7月に2回アメリカへ行ってきて、アメリカ人もスペシウム光線の形(ポーズ)はうまい。あの形が世界に通用してる」

 

 もうすぐ2020年。『ウルトラQ』(1966)の第19話「2020年の挑戦」は飯島氏が脚本・監督で、2020年から地球に襲来するケムール人を古谷氏が演じた。

 

古谷「(2020年の)東京オリンピックではケムール人とリレーしようか(笑)」

飯島「『ウルトラQ』では彼がケムール人をやりました。2020年の地球では、大気汚染で人間はケムール人になっちゃうと思って。ぼくは2020年が怖かった。煙のように消えるからケムール人といい加減。いまの地球から人間を拉致するという役でした」

 

 『ウルトラマン』の次作『ウルトラセブン』(1967)では、古谷氏はスーツアクターではなく、ウルトラ警備隊のアマギ隊員役を演じた。

 

古谷「俳優として顔を出したいという感情があって、そこで円谷プロとTBSの方が古谷敏をアマギ隊員にしようと。そしたら俳優としてはそっち選ぶでしょ」

飯島「あれはご褒美でしたね」

 途中で『ウルトラマン』のフジ隊員役の桜井浩子さんが見に来られていたことが明かされ、客席から桜井さんがサプライズ登場。

 

古谷東宝の後輩なんですよ」

桜井「きょうは飯島監督と古谷さんが来るということで。このお兄さんは、こんなかっこいい感じで来やがって(一同笑)。

 7月に宝田明先輩とシカゴに珍道中に行ってきました。外人の方もシュワッチって。古谷さんが何度もやるとみなさんもやって、ほんとに盛り上がって。監督はやらないんですか。このふたり、最初のふたりだもん」

 

 古谷氏、桜井氏そして飯島監督がみんなでシュワッチのポーズ!

 

古谷「初めてじゃない、ふたりでやるの?」

飯島「子どものとき、チャンバラで見得を切ったりやってました。すると怖いおばさんがつかまえに来る」

桜井「え、私のこと(一同笑)」

 

 合成について客席から質問があった。合成シーンを織り込む飯島氏の手腕については、故・実相寺昭雄監督も感嘆していた(『夜ごとの円盤』〈大和書房〉)。

 

飯島「ぼくは合成の素人で、だから無茶なことができたの。それやったらプロじゃないっていうのがいっぱいあるけど。

 天井からウルトラマンをワイヤーでぶら下げて、こう飛ぶと、カメラもこう動く。音を入れて、扇風機で風を送ると、リアルに見える。CGよりも飛んでる感じがする。10年前のとき(『ウルトラマンマックス』〈2005〉)はCGでいくらでも数ができると。それでばっと。最初はもっと少なかったけど、倍にできない?って。若い女性のスタッフが、ふた晩すると目を真っ赤にして、ほんとは簡単じゃないんですね。

 最初の『ウルトラQ』のときは節約してたけど、あと(の作品)は呼ばれて行ったから(予算を気にしなかった)。『ウルトラマン』で円谷プロはもうかってもうかって…」

桜井「嘘ですよ。『マックス』のとき、監督には誰も「NO」と言えなくて。監督もやりたい放題やられました」

飯島「ぼくね、新しもの好きのおっちょこちょいで、新しいものは使ってやろうと。CGはダメってほうじゃなくて、わざと『ET』(1982)と同じ画をやってみたり」 

 

 『マックス』については、映画『日本国憲法』の上映後に行われたシンポジウム にて客席にいた飯島監督の飛び入り発言でも語られた。

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 最後に飯島監督からメッセージ。

 

飯島「いまはウルトラマンが43体? バルタン星人もたくさんいて、ぼくの知らないバルタン星人もいます。出てきてすぐやられるのもいるけど、単純な悪役じゃないというのを見ていただきたかった。ぼくのバルタン星人は、50年前は悪役で、でも10年前に撮ったときはいい役にして、かわいいお嬢さんにして。初めてごらんになった方は、あいつのつくりたかったバルタン星人はこうなんだと。もう声はかからないけど“最後の”じゃなく“最新作”です」

 

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