読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

中島丈博 × 浅田次郎 × 杉田成道 × 内山聖子 × 十川誠志 × 林宏司 × 鈴木宣幸 トークショー レポート(4)

f:id:namerukarada:20160403143940j:plain

NHK講談社 (2)】

杉田「テレビ局と出版社とが、この10年くらいで変わってきてる。(以前は)口約束で出版社がやってほしいと来て、テレビ局は上から目線で。それがマージンも上がって、原作者も強くなってきて。漫画になるとテレビ局は苦しい立場で、実入りも少ない。編成のやつに訊くと、漫画はかなわないって。それがかつての感覚を持ってる人には…」

内山「どうして私はここに呼ばれたんでしょうか(笑)。

 この原作を映像化したいと手を挙げるのはプロデューサーですから、係争までいくのはプロデューサーの能力不足かなと思います。クランクアップまで(原作者が)知らされていないというのは驚きで、NHKの体質というよりはありえない話。プロデューサーの思惑とは違うところで、何かが起こっている。原作者と映像とをつなぐ担当の不備かな。

 どんな企画が当たるだろうとみんなが思ってる中で、安易な発想もありますけど、プロデューサーは書物を読み映像を見て考えています」

杉田「プロデューサーばかり悪者になっているので、かわいそうですよ。役者がこういうのは厭だと言ったり、演出家が何か言ったり、それを調整する。勝手なことをみんな言ってくる。プロデューサーに力があればうるせえ!って言えるけど、翻弄されることが多くて」

中島「翻弄されるプロデューサーが、その原因をつくっている(一同笑)」

杉田「何とも言えませんが、倉本(倉本聰)さんは強引に自分の本を書く。出来上がったら、怒濤のように…。原作者がいいって言うか判りませんが、ぼくは説得力のあるものにしたい。台本はすべての根幹です」

中島「しばしば意見を言えないプロでデューサーもいます。印象批評しかしない。ここをどうすればいいとか、作品に即した、入り組んだ意見を言ってくれるプロデューサーが少ない!」

十川「長いこと製作委員会制度があります。出資する企業が委員会をつくって、その決定事項にもとづいてつくっていく。その席上が多人数になり、いろいろな思惑が渦巻き、テレビ局のプロデューサーが入っていって調整するのは不可能では、と。プロデューサーの能力があるかないかでは済まない」

中島「ただ現状では、委員会ばかりでなく、個々のプロデューサーが脚本家とタッグマッチでつくっていくほうが多い。鈴木さんがいまもぞもぞ言ってますけど、今回のトラブルはあのプロデューサーでなければ発生しなかったと?」

鈴木「いやあ」

杉田「原作に対する思いが強ければ揉めることはない、と思います。誰かひとり強力なエネルギーで引っ張っていけば」

鈴木「漫画も原作者と作画が分かれていることがある。つなぐのが編集者の力。出版界のわれわれと現場、監督をつなぐプロデューサーがしっかりしていればトラブルにはならない」

 

 鈴木氏は、いまNHKで放送中の『精霊の守り人』(2015)では、『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』(講談社文庫)の未映像化シナリオと同じ脚本家が担当しており、原作者も満足している、この違いはプロデューサーの問題だと指摘。そこで第1部にて登壇し、2部では客席にいた脚本家・大石静氏が発言した。

 

大石「(客席から)プロデューサーが悪者になってますけど、私は出版社にも多大な問題があったと思います。内山さんが言いたいと思って」

 

【その他の発言】

浅田「根本的な問題として、若い作家ほど小説の台詞が多くなってる。私のは古くさい小説で、「」の部分は最大限2割。平文で叙述して、台詞は補助と考えております。古い作品はトラブルが起きにくい。若い人の作品ほど、ストーリーを会話で構成していく。これでは、脚本家と小説家が同じ土俵になる。

 うまくいったケースだと、言いたいことが言い合えた。ひとりは古い友人で、ひとりは高校の同級生。

 トラブルを回避するには、脚本家の方が全面に出てきて会ってほしい。すると意見の交換ができる。小説家もそれを求めていると思います」

 

中島「昔はNHKで書きたいものを書いてください、何かおもしろいもの持ってないかと言われて、企画が生まれた時代があった。いまは一切ありません。企画部が力を失って、編成が牛耳ってる。

 私たちが目指すのは、小説家と同じ脚本家の作家性で、それがないと映像の世界は壊滅すると思います。原作ものがダメでオリジナルがいいと言っているわけではありません。脚本家は原作を脚色すると、自分の領域が広くなる。浅田先生が言われた“テーマをいじってはいけない”というのは大事で、それを大切にしながら、自分の世界と違う原作に出逢うことで向上していけると信じております。今後も、よりよい関係を求めて励んでいきたいと思う次第です」