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大石静 × 尾崎将也 × 熊谷真実 × 中園ミホ × 羽原大介 トークショー レポート(1)

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 3月に、日本脚本家連盟創立50周年シンポジウムが行われた。13時半から17時までの長丁場で、筆者は一応すべて聴講。

 第1部は、脚本家の大石静、中園ミホ、羽原大介、女優の熊谷真実の各氏が出席。司会は、脚本家の尾崎将也氏(表題は五十音順)。後述の通り、朝のテレビ小説を経験した面々である。筆者は特に大石静氏のシナリオ作品は多数見て、エッセイも読んでおり、ちょっと感慨があった(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りで、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

 

【朝ドラについて (1)】

 脚本家陣は朝のテレビ小説、通称朝ドラを手がけたライターで、熊谷氏は『マー姉ちゃん』(1979)に主演しており、その想い出が語られた。

 大石氏は『ふたりっ子』(1996)、『オードリー』(2000)と、2本の朝ドラを担当。

 

大石「朝ドラを2回やってるんですけど、脚本家になって10年経つ前にやって、踏ん張って書く、逃げ出さないということを学んだ。物語はチームの人たちも考えてくれたけど、書いても書いても一生終わらないかなって分量でした。でも私は連ドラを途中で誰か(他のライター)に渡したことは1度もなくて、その根性は養われたかな」

熊谷「『マー姉ちゃん』からもう38年。会が毎年行われていて、田中裕子さんや藤田弓子さん、私やスタッフが来ます。かなりお亡くなりになって、でも去年は10人来ました。38年経って、10人ってすごいですよね。脚本の小山内美江子先生もすごく久しぶりに出席なさって、書いていると田中裕子にシフトしたくなる、細かい芝居で。だからプロデューサーに熊谷真実が主役だって怒られたって。情けないけど。

 いまだにマー姉ちゃんって言われる。朝ドラあっての熊谷真実って歳をとるごとに思います」

 

 尾崎氏は『梅ちゃん先生』(2012)、中園氏は『花子とアン』(2014)、羽原氏は『マッサン』(2014)を発表。2010年代にヒット作を手がけたライターたちである。

 

尾崎「朝ドラは毎日やってないと終わらない。日常業務を淡々とやっている感じで、民放の連ドラがらくになる。連ドラは大変でしょうって言われるけど、長さに関しては楽勝ですよって」

中園「何年か前に尾崎さん、岡田(岡田惠和)さんと鼎談したんですけど、朝ドラは自分には無理だと思うって岡田さんに言ったら無理だねって言われて。別のときに大石さんにも無理だねって言われた。私は大酒飲みで、翌日は仕事にならないくらい飲んじゃうし。

 NHKの『はつ恋』(2012)を書いて、割りとうまくいって、終わって若泉(若泉久朗)ドラマ部長と事務所の社長と飲んでいて。そこで朝ドラやるって約束したらしいんです。若泉部長からメールが来て“お引き受けいただいてありがとうございます。絶対当てましょう”って。引き受けた覚えがない。事務所社長も、うーんって。ほんとに大変で、1週間お酒も飲めない。勤勉でない私には苦行で。でもいまはやってよかったなって。筋力がついたというか。それと地方に講演で呼んでもらえるようになって、原稿用紙埋めるより実入りがよくなりました(笑)」

 

 朝ドラに限った話ではないが、制約も多い。

 

羽原「中園さんが苦行をされてるときにオファーが来て、『花子とアン』の後で、プレッシャーでした。(『マッサン』は)NHKとしては大チャレンジ、外国人ヒロインでかつてない朝ドラにすると。そうかと気合い入れてやってるんだけど、ニッカとサントリーとどっちがいいというのは止めてくれ、NHKが民間企業の肩を持つことになる、とにかくサントリーを悪にしないでくれ、と。それで、堤真一さんを悪者にしないようにしました。

 大正時代には外国人差別があって、でもそれを描かないでくれ、外人という言葉を使わないでくれ、外国人、と。いまも野球の“外人助っ人”とか使っているのに。実在の方はもっとひどい言葉で言われていたはずなんですが。第二次大戦中に日本に取り残された外国人を描くには、だいぶ議論したんですけど、受信料をもらって朝にさわやかなドラマをお届けする枠なので、できるだけマイルドに。酔っぱらいを出しちゃいけない、とか。お酒の話なのに。

 最初は東京で打ち合わせして、あとは大阪へ出向いて。いいホテルでしたけど、クランクインしてからは速く速くという日々で、ほとんど日帰り。行ったらそのまま会議室で、終わったら新大阪で新幹線に乗る。週に1回の通い妻(笑)」

中園「いいわけですけど、『花子とアン』で白蓮が駆け落ちする。そのふたりがどうして夫が来るカフェで逢い引きするのかって言われて。ものすごいセット縛りがあって、天下の朝ドラだからお金いっぱいあるかと思ったら、セット3つ建てて、その中でしなきゃいけない。花子さんが不倫相手と逢い引きするのも同じカフェ。ロケ行ってる暇はあっという間になくなって、ちょっと外出て撮るってできない。3つのセットの中で事件を起こすことになる。セットの使い方がうまくなって、民放の連ドラでもこれ(ロケしなくても)セットでできるよって」(つづく)

 

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