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沢井桂子 × 中野昭慶 トークショー レポート・『怪獣大戦争』(2)

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【『怪獣大戦争』の想い出 (1)】

沢井「最初に(ゴジラの映画を)見たとき怖かったですね。まだ出していただけるとは思ってなくて。出してもらって、ゴジラの中の俳優さんが汗かいてがんばっていらして、特殊撮影の方もいて、見方が変わりましたね。

 『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』(1965)は、フランケンシュタインにも心があって、最後に死んでしまう

 みなさんの演技を見て、ほんとにうまくやっていらっしゃると感心してました。(自分の出演作は)試写会でも映画館でも見てましたね」 

中野「とにかく、日本にSFの土壌がなくて、SF映画は当たらないと言われてた。『妖星ゴラス』(1962)もSFっぽくするとそっぽ向かれるから、音楽に肝いりしたり。“おいら宇宙のパイロット”の歌を無理やり入れるとか」

 

 『怪獣大戦争』(1965)の威勢のいい“怪獣大戦争マーチ”は、一度聴いたら忘れられない。

 

中野「(音楽の)伊福部(伊福部昭)さんにお願いしたのは、X星人をギャング団にしようと。X星人のマーチを書いてくださいって頼んだのが、これ。ターゲットを広くして、軽快にやろうと。マーチはダビングのときまで知らなくて、どんな曲かなって言ってたら“おお!”と。格闘シーンにもこれ使ったね。黒澤(黒澤明)さんも、“猪さん(本多猪四郎監督)、あれうまいことやったな”って。テーマ曲を流してズシンと、良い仕事したなって

 めんどくさい台詞も止めて、コミカルなタッチにしようと。関沢(関沢新一)さんのうまいところで。円谷さんも怪獣のアクションはコミカルに。重いアクションじゃなくて、コマ落としにしてひっくり返るとか、足ばたばたとかね。ゴジラキングギドラのしっぽを持つのは、剣道の面。でもなかなかうまく上がらない。中島春ちゃんスーツアクター中島春雄氏)も、“これ以上あがりません”って。そういうふうに全体をコミカルに。ファンには、そりゃないよってところもあるかもね。

 キングギドラの首は十数人が動かしてた。首1本に3つの線があって、それを6本に増やしたんです。円谷さんが、ギドラにもコミカルな動きをやらせたい、と。だからぼくが(線を増やそうと)言った。羽が4人、しっぽに3人、首に6人。さらにそこに4人増やして、17人で寄ってたかってやった。円谷さん喜んじゃって、だから(『怪獣大戦争』では)やたらと首ふってる。上の連中は大変。

 特撮も凝ったことやってる。足で民家をつぶすのは、それ専用のでかい足をつくったり。足をクレーンにくっつけて壊す。結構手は込んでる。この新兵器は何だっけ。新規にデザインして、怪獣退治の兵器の基礎になって、後で使い回してる。

 宇宙人の服、あれも有名なデザイナーに頼んで、力入れてる。東宝としては、それだけ宇宙人に力入れてた(笑)」

 

 ゴジラが、当時流行っていたシェーをする場面もある。宣材写真では、ゴジラだけでなく出演者もシェーに挑戦。

 

沢井「(宣材写真を見て)シェーは、みなさんはずかしがってましたけど」

中野ゴジラがやったから、お前たちもやれと(一同笑)。ターゲットを子どもに広げていくために漫画を素材に、と。東宝の重役(柴山撮影所所長)に飯食おうって言われて、“ゴジラにシェーを”と。ぼくも円谷さんも知らなくて、現場で“シェーって何だ”って。上げるのはどっちの足だ?とか。中島春ちゃんもやったことない、と。だから右の足上げて、左の足も上げて、どっちかが正しいだろうから。本多さんも後から知っただろうね。設定も何もないから。

 円谷さんもコミカル路線に持っていこうとしてる。『キングコング対ゴジラ』(1962)でもスポーツみたいなアクションをということで、サッカー(みたいに)やったり。しっぽを持つのは剣豪。そういう路線でやってたからシェーが出てきた。それがなければ、円谷さんも重役なんて気にしないところがあるからバカやローってなってただろうけど」

 

 ニック・アダムスは、撮影現場では英語を話し、声を納谷悟朗が吹き替えている。

 

沢井「(ニック・アダムスとのやりとりは)勘ですね。こっちが(日本語で)話して、向こうも(英語を)話す。ぴったり合って、ニックさんはすごい才能でしたね。水野さんといろいろ話してらして、水野さんのことが大好きで、面白い方でしたね」

中野「ニック・アダムスは、“おれ、海ダメだ”って。海のシーンはプールで撮った。彼の泳ぎ、ちょっと変でしょ(笑)」

沢井「いい方でしたね。声優さんの方も、ほんとにうまいですね。すごい技術」

 

 X星の統制官(土屋嘉男)が宇宙語を喋るシーンもある。土屋嘉男は黒澤映画での常連である一方、『地球防衛軍』(1957)の宇宙人役、『ガス人間第一号』(1960)のガス人間役、『怪獣総進撃』(1968)の宇宙人に操られる役など東宝特撮作品にてさまざまな名演・快演を披露した。

 

中野「宇宙語は本多さん。台本には日本語で書かれて、(宇宙語)って書いてある。監督は“○×#△$%”と思いつきで、それを土屋さんがうまく真似してね」

沢井「土屋さんは昔から“宇宙人がいて”とか“円盤を見た、信じなさい”と話してて、そうですかと言うしかない(一同笑)。すごい人ですね。

 ロケの宿屋で、土屋さんがみんなを集めて話してて。御殿場なんか、結構長くいました」

中野「御殿場、富士五湖は怪獣映画の定宿みたいな」

沢井「雨降ると困るから、天気祭りで毎晩飲んだり(笑)。いい時代でしたね。

 田崎潤さんはえらい方で、豪放磊落というか。お酒飲むとすごかったですね。普段は優しい方ですが、飲むと遠くの部屋でも田崎さんが何か喋ってると判る(笑)。みんな周りからだんだんいなくなって」

中野「田崎さんは酒癖が悪かった」(つづく)

 

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