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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

森達也 × 田原総一朗 × 松本麗華 × 安岡卓治 トークショー レポート・『A2』(3)

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【松本麗華氏 (2)】

安岡「麻原(麻原彰晃)尊師が自分たちを試すためにやったと。信者たちが信仰を貫くことができるか、試しているのだという解釈が出てくる」

「オウムを語るとき、マハームドラーがサリン事件に機能を果たしてしまったと思う。厭なことをやらなきゃいけないという。これは拡大解釈できてしまう」

松本「そう、キリがなくなっちゃう。大きな問題ですよね」

田原「危機感や不安はまだなかったですか?」

松本「クルタを着てヘッドギアをかぶるのは違和感があって、はずかしかったですね」

「ヘッドギアは麻原の脳波を感受するもので、麻原に近づくために脳波を同調する」

松本「私もよく判らないんです。村井(村井秀夫)さんが「ムー」で、脳波が人類を変えるって読んで(一同笑)。父の瞑想中の脳波を受けて、それを体験できるという理屈です」

田原「上祐(上祐史浩)さんはヨガの教室に通ってて、そのうちに神秘体験ができるようになったと」

松本「私は子どもで、選民思想に染まらなかった。後で(周囲に)自分たちは大人で選民意識が生まれた、あなたは幸運だったと言われました」

「神秘体験は、多かれ少なかれ、信者にはありますよね。ぼくらも座禅してたら、なんか見える気がするし、よく判らないですね」

 

 2000年、松本氏は実兄を連れ去ろうとしたとされ、逮捕された。

 

「『A2』(2002)のときは、麗華ちゃんは年齢的には高校生かな。学校行ってないけど。旭村で長男連れ去り事件があって、その首謀者が麻原の三女であるということになって」

松本「出頭しました」

「何であんなことが大きな記事になるのか。麗華ちゃんが刑務所にいるときに調べたら、誘拐でも何でもない。そのことを雑誌に書いて、出てきた後でいっしょに食事したり」

松本「住居侵入罪で逮捕でした。(マスコミの紙面には)拉致って文字が躍ってました」

「自分の家で、自分の兄弟を連れてたら拉致。とにかくオウムは危険だとアピールしたかったのが公安。メディアもそれに乗っかった」

松本「取り調べ自体はあまり厳しくなかったです。代わりに上の姉が厳しくされて、手錠を巻かれたり、椅子を蹴られたり、朝から夜まで。多分18歳くらいでした。長男を連れ去る目的で立ち入りました、誘拐しましたという証言を取りたい。私の前にも週刊誌を積まれて、お前侵入しただろって」

田原「お姉さんに誘拐したと言わせて、どうするつもりだったんだろう」

「(オウムへの)破防法適用は棄却されて、団体規制法の直前。公安にとっても必死の攻防戦だった。それにメディアも乗った」

松本「(『A3』〈集英社文庫〉を)献本していただいたときは反発もありました」

田原「どんなところが?」

松本「そのときは父の批判を不快に感じてました。切り込んでくる感じが。でも改めて読んで、森さんはオウムの深いところまで切り込んでいらっしゃったんだなって」

田原「あなたはこれからどうしていきたいの?」

松本「宗教や組織に興味はないので、誰かのために何かしたいですね」

田原「信者はあなたを教祖にしたかったんじゃないかな」

松本「戻ってきてと言われたけど、断りました。ひとりひとりが自立して学んでいくことが重要かなって」

田原アレフにも上祐さんのところにも行かない?」

松本「私にとっては同調するものがないかなと」

田原「オウムのやったことと関係なく生きていくということ?」

松本「でも私の人生にとって大事なので、ライフワークとして何があったのか調べていきたいと思っています」 

 

 松本氏の妹さん(四女)は、「麻原は死刑になるべき」と強く主張しているという。

 

松本「報道されたり批判されたりしていると、それを内面化することがあるんですね。(下の妹は)父を知らないで育ち、小学校や中学校でいじめを受けて、先生からもいじめられて、社会の言うことを自分の意見として内在化してしまったのかな」

「大人になったね(笑)」

止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記

止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記

 

【その他の発言】

「メディアは企業として変化して、リスクヘッジをして。火中の栗を拾うってのは企業としてはありえないけど、メディアとしてはやらなきゃいけない。メディアには、企業として安全なだけでいいのかっていう煩悶がなくなって」

田原コンプライアンスが言われて、ネットの時代になって、メディアはおびえ始めた。昔の抗議は電話だったけど、いまはネット。わっと広がって、大騒ぎになる。大騒ぎになってスポンサーまで行く。クレームが怖くて、そういうのがない番組をつくろうと無難になってきた。気骨のある人は辞めていく。憂うべき情況です」

 

 一方で田原氏は、言論については心配ないとも話す。

 

田原「ぼくは『朝まで生テレビ』をつくっていて、全くタブーがありません。最近は保守とリベラルが逆転して、リベラルが天皇を支持してる。安倍さんに親しい人は靖国に参拝してるけど、天皇は戦争を反省してるとか。やる気になれば何でも言える。この国は言論が自由ですから。そんなに心配することないですよ」

「あまり周囲に同調しないほうがいい。でも反目すると異物になるから、右って言ってるときに左を見るとか」

田原「「サンデー毎日」っていうあんまり売れてない雑誌があるけど、新しい号で半藤(半藤一利)さんと保阪(保阪正康)さんと青木理が鼎談をしてて、安倍は勉強しない、こういうやつが日本を引っ張ってるって言ってる。こういうことを平気で言える。安倍晋三って知ってるでしょ(一同笑)」 

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