私の中の見えない炎

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高山由紀子 × 山下賢章 トークショー レポート・『メカゴジラの逆襲』(2)

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【高山氏と『メカ逆』(2)】

高山「怪獣の戦いにはいろいろな意見が出まして、ある方は(メカゴジラが)東京を壊すのをゴジラが止めるシーンを入れろって。それじゃ破壊シーンがなくなってつまらないんじゃないの(一同笑)。

 チタノザウルスができたって聞いて、行って見せていただいて、“あ、この怪獣、メスだ”って。そのころ痩せていたんで、私に似てるなって。つくった人は、私を知らないだろうに」

山下「高山さんにしっぽをつけると(笑)。

 (シナリオは)難解だなと思ったのが最初の記憶ですよ。監督がどう咀嚼するのか。台本はきちんとできてて、サイボーグに心がありやなしやってことを期待しましたね」

高山「最近見ての反省は、怪獣の出てくるところが少ない。物語が多くて、きっと子どもたちはまだゴジラが出てこないと思ったかなって」

山下「ぼく(の感想)は全然違って、三つ巴の戦いもあって、ドラマもあって、ちょっと足りないくらい」

高山「ラッシュを見たら、自分の書いた台詞を役者さんが喋ってる。終わった後、こんなホン書いたの誰だって怒られるんじゃないかなって。そしたら、その後あっさり次の段取りが進んで、ほっとしました。出来上がったことが嬉しくて、いまもあれがデビューで嬉しいです。

 父はすごく喜びましたね。のちに私が文芸作品を書くようになって、でも父は“地震はあるの? 洪水はあるの?”って(笑)。

 その後、シナリオライターとして絶対書けなかったのがホームドラマでした。大根がどうとかお姑さんとか。それより宇宙のブラックホールとかのほうが(一同笑)。ウルトラマンとかもけっこう。ホームドラマがダメですからね。仮面ライダーも好きですよ(一同笑)。

 私はほんとにすてきなデビュー作を持ってるなって。その後、撮影現場で助手さんに“子どものころ見ました”って言われて(笑)」

 

【山下氏と『メカ逆』(1)】

 山下賢章氏にとって、『メカゴジラの逆襲』(1975)は初のチーフ助監督作品である。

 

山下「(映画界に入って)最初はNo.5の助監督からスタート。見習いで、助監督たるものはどういうものかを身につけて、使い物になると思われたら組づき。フォース、サード、セカンド、チーフと行く。5年くらいかかって、“チーフやらんか、こういう作品あるぞ”って言われて。びびりましたね、不安でしたよ。ぼくは29歳くらい。チーフになることがびっくり仰天で。メインスタッフはベテランばっかりで、怖かったですね。スタッフは優秀なチーフ助監督を見てきてるし、何やってんだと言われないかなって。みんなひねくれ者の職人さんだし。でも『メカゴジラの逆襲』のスタッフは紳士な人たちで。録音の矢野口文雄さんは黒澤(黒澤明)組などをやられていて、その人が優しくて。録音の人だけに耳が良くて、他の人の言うことを解釈して通訳してくれた。

 監督は本多猪四郎さんで、触れてみたいなって。本多さんは(当時は)撮られていなくて、撮影所で会うこともなくて、見るチャンスもなかった。単なる怪獣というのを、イメージを覆して文明と戦わせる。そういうことをやってのけた方ですね。“きみが山下くんね、頼むね”ってそれだけ。色が白くて、東北人みたいにもち肌。いかつい感じはなくて、優しく迎えられました」

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 撮影現場での山下助監督のスナップ写真が紹介された。

 

高山「かっこいいですね」

山下シナリオライターが新人の女性と聞いて、いつ会えるか期待してました(笑)。でも多分当時は会ってない。

 (スケジュール上)特撮は後から進行していて、編集するとき特撮は白味。全体が90分なら100分くらいにつないでおく。それを流して見るのがオールラッシュ。その前にスタッフが(現像所で)セミ・オールラッシュを見る。音楽家や効果音の人も入って、イメージを固める。ぼくは後から駆け込むように(現像所に)行ったの。そしたら本多監督と高山さんが入っていかれる。そこへ後ろから近づいていって。学生時代にぼくはシナリオ研究会にいて、世代もそれほど違わない方が一本立ちして現れた。尊敬のまなざしですよ」

高山「私は実を言うと、全く記憶にないです。監督以外の方は、誰が誰か何も判らない。でもあの写真見て、当時から知っておけばよかったなって。現場で働いていらっしゃるスタッフの方はかっこいいですよ。役者さんよりかっこいい(笑)。

 現場に行くと、チーフ助監督って偉いんですよ。監督さんより怖いかもしれない(笑)」

 

 ヒロインがサイボーグに改造されるシーンでは、乳房や切開された腹部が映っている(どう見てもつくりものだが…)。

 

山下ブラックホール第三惑星人は残虐だな。女体が切り裂かれてるわけですから。40年前のサイボーグだから、機械の断面がいま見るとゼンマイ…」

高山「でもブラックホール第三惑星人はすごいんですよ。あんな簡単な機械でサイボーグを動かせるんだから(一同笑)」

山下「はずかしいとは思わなかったな。あのシーン、アメリカ(でのテレビ放映)ではカットされてるらしいけど」

高山「切り裂くっていうがダメなのかな」(つづく) 

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