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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

妄想族日誌(2015年8〜9月)

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 天は私を見放したか。受難の日々…

 

 8月某日

 7月の酷暑が嘘のように、東京には涼しさが訪れる。

夏が終わるのは、秋や冬が終わるのとは全然違う。すごく面白かった本を読み終えてしまったような、クラスメイトたちとすごく仲が良かったのにクラス替えを迎えてしまったような、そういう特別な時間の終わりに似ていた」(島本理生『波打ち際の蛍』〈角川文庫〉)

  

 8月某日

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 池袋にて映画『ゴジラ』(1954)と『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』の上映後に、前者に主演した(後者に助演)宝田明氏のトークショーがあるはずだった。雨降りの中、いそいそと出向くが、直前になって急遽中止に。車で向かう途中に宝田氏の体調が悪くなったそうで、映画館の人もいささか動揺した調子でアナウンスしていた。

 戦後70年のこの夏、宝田氏は戦争体験をさまざまなインタビューや講演で語り、ミュージカルにも主演している。露出が多かったので、疲労だろうか。こちらも意気消沈。冷やし中華を食す。

 

 8月某日

 用事を済ませてふらふらになって帰宅。パソコンを開いたら、「堀北真希山本耕史が結婚」との見出しが!!!!

 『野ブタ。をプロデュース』(2005)に感銘を受けてから10年。ずっと堀北ファンの筆者は、今年の5月にふたりが共演する舞台『嵐が丘』(2015)の千秋楽を鑑賞。「ヒロイン(堀北)はいいけど、山本は熱演しすぎでいまいちだな」などと上から目線で思っていたのだが、その千秋楽の直後にふたりは初めてLINEのやりとりをしたのだとか。

 失恋?にあたって、記憶の中のフィクションを検索する。6、7歳くらいで見た、高倉健主演の映画『海峡』(1982)。

 青函トンネル建設に従事する技師の健さん(通称トンネルさん)に、吉永小百合は心を寄せていた。あるとき、トンネルさんが結婚するそうよ、と聞いた吉永は小さく「あっ」と叫んで洗い物を落とす。周囲の人はどうしたのと驚く。そんな場面を思い出した(見てから26、7年経つので頭の中で捏造しているかもしれない)。

 そういえばリアルの小百合ちゃんが結婚したとき、サユリストのタモさんはどんな気分だったのか(そんな気分だったんだろうけど)。

海峡【Blu-ray】

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 宮藤官九郎脚本の『木更津キャッツアイ』(2002)には、「女に振られたときはジブリにかぎんだろ?」という台詞があった(劇中で阿部サダヲ山口智充が『風の谷のナウシカ』〈1984〉を見ていた)。

 そうだ、久しぶりに羽海野チカハチミツとクローバー』(集英社)を全巻読み直してみようか…。

 8月某日

 先月、戦前生まれの大御所脚本家の講演を聴いた。最近、彼は太平洋戦争下の日常を描いた映画を見ていて、ラジオや豆ごはんなど細部の齟齬が気になって、作品がいいのか悪いのか、よく判らなかったという。

 この日、新宿にて某作品を見ていたら、脚本家の指摘のあった場面が出てきて(ああ、これのことを言ってたのか)と思った。

 某作品の作り手A氏は、近年の邦画は考証がでたらめであり、自作については可能な限り正確を期したと語る。だがA氏は戦後生まれであり、当時を知る人が見れば不自然な部分は出てきてしまう。もっとも1930年生まれの深作欣二監督が40年くらい前に撮った作品にすら、敗戦直後の闇市の場面がおかしいという細かな批判が寄せられていたが。

 戦時は遠くなりにけり。戦後90、100年を迎えるころには、どんな頓珍漢な作品が世に放たれるのだろうか。

 

 9月某日

 中学生のころによく通った国立の書店が8月いっぱいで閉店していたことを知り、ショック。立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』(文春文庫)とか藤子不二雄A『愛、しりそめし頃に…』(小学館)、月刊誌「噂の真相」や「宝島」をその書店で購入した想い出が甦る。90年代も遠くなりにけり。堀北さんが結婚し、好きな書店もなくなった、これからの世界。

この身の毛もよだつ蛮地で 私はこれからどうやって 生きていけばいいのだろうか」(『藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編2巻』〈小学館〉)←大げさ