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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

妄想族日誌(2015年7〜8月)

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 アツサノナツハオロオロアルキ…

 

 7月某日

 先日の飲み会で、筆者の近くにいらしたのが永井豪の研究家で、『永井豪 美少女マンガコレクション Go-Go Girls! 1968-73』(復刊ドットコム)なども編纂された方だった。

 その方とちょっとお話ししたこともあり、いつか読もうと思っていた永井豪の初期作品『真夜中の戦士』(朝日新聞出版)を手に取る。

 ゲームの駒にされている登場人物たち。生きる意味は、生きながら見出していくべきだ、という意外なほど実直なメッセージが込められている傑作である。

 オリジナル版とそれを膨らませた中編版とが併載されているが、短いオリジナル版のほうがよくできているように思われた。

真夜中の戦士 (シリーズ昭和の名作マンガ)

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 7月某日

 昼間の暑さも耐え難いけれども、夜も暑くて寝つけない。

 そこで、今月から公開されている資生堂のショートムービー『Snow Beauty』を見ると、少し涼しくなった。人間と雪男のハーフ(星野源)が、バーに勤める雪女(二階堂ふみ)に恋した。だが、雪女は年上の男性に片想いしていた。

 “雪女”の映画と言えば、小泉八雲の原作をオムニバスで映画化した『怪談』(1964)の一挿話が思い出される。見たのは10年くらい前なのだが、凝りに凝った背景画と雪女役の岸惠子の怖さはいまも印象深い。 

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 今回の『Snow Beauty』は青と白で統一されたセット撮影が特に見事な出来栄え(監督・脚本:萩原健太郎)。星野源は朴訥に狂気を感じさせる好演で(主題歌「Snow man」も彼が担当)、二階堂ふみは笑顔も無表情も苦しげな顔も美しい。映画『ヒミズ』(2012)やテレビ『問題のあるレストラン』(2015)などめざましく活躍する二階堂の美しさは、戦後70年の生んだ奇跡だ(は?)。 

 余談だが、過去にこの手の企業PR映画として巨匠監督がつくった秀作もあった。市川崑監督のドキュメンタリー『京』(1968)は、イタリアの会社の文化事業として製作されて、美術館などで上映されたという(珠玉の短編だった)。いまのところ見る機会がないのだけれども、実相寺昭雄監督が撮ったJALの機内映画『日本のこころ』もいいらしい。

 

 8月某日

 7月に俳優の加藤武氏が逝去したと報じられる。6月初旬に池袋で加藤氏のトークショーが行われ、氏は声も大きくお元気そうだっただけに、訃報には驚かされた。筆者が生で加藤氏を見たのは、それが最初で最後になってしまった。

 市川崑監督 × 石坂浩二主演の『犬神家の一族』(1976)を見直すと、横柄な警部役の加藤氏はギラギラしていた。30年後のリメイク版でも加藤氏は異常なまでの若作りで同じ役を演じ、金田一耕助役の石坂氏と共演。『日本沈没』(2006)では『犬神家』ファンの樋口真嗣監督の要望により、やはり加藤・石坂両氏が同じ画面に収まっていた。筆者は『犬神家』のリアルタイムの世代ではないが、そんなこんながなつかしい…。

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 8月某日

 テレビ『ヨルタモリ』を見ていたら、タモさん(演じる吉原さん)が、「あんまり売れてない芸人」の匂いとスタントマンの匂いを比べるという企画がかつてあったと話していた。男性陣はみな何とも感じなかったのに、女性たちは一様にスタントマンの匂いがいいと言い出したという。

 やはり危険と隣り合わせの人のほうにフェロモンが出ている、との結論に落ち着くわけだが、これは6、7年前のタモさん司会のスペシャル番組内の企画で、筆者は見ていた。そして「売れてない芸人」とは、生保需給問題の発覚以前で仕事が殺到していたころの河本準一である。彼を「売れてない」と形容したのはタモさんなりの配慮か、皮肉か、記憶違いか。 

 

 8月某日

 新作映画『ジュラシック・ワールド』(2015)の公開に合わせて、スティーブン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』(1993)がテレビで流れていたので、22年ぶりに全編通して見直す。言わずと知れた大ヒット作で、公開直前には“この種の遊園地映画は時代遅れ”などと揶揄されていたにもかかわらず、蓋を開けてみれば興行の記録を樹立した。

 また、公開後には“恐竜ばかりで人間が描けていない”などと愚かな批判にさらされたようだけれども、本作は偏屈でオタク的な主人公(サム・ニール)の成長物語にもなっており、“人間が”などと紋切り型の非難を述べる評者に対しては、ちゃんと見ろと怒鳴りつけたくなる。

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 両親とはぐれた飛行機好きの少年(クリスチャン・ベール)が日中戦争の混乱のさなかを生き抜く『太陽の帝国』(1987)、いい歳して社会性のない父親(トム・クルーズ)が宇宙人の襲撃に遭って奮闘する『宇宙戦争』(2005)など、スピルバーグ作品は自身を投影したかのような男性の成長譚という構造を持つことが多い。

 筈見有弘スピルバーグ』(講談社現代新書)によると、学生時代のスピルバーグは「アウトサイダー」であったという。映画マニアで、周囲と折り合うのに難渋したのであろう彼の苦闘が、作品から見て取れる…。

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 8月某日

 昨2014年に逝去した俳優・斎藤晴彦氏。斎藤氏のお気に入りだったという吉祥寺の喫茶店“茶房 武蔵野文庫”へ。ここのカレーを好んでおられたのだという。

 旨い。