私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

野沢雅子 × 肝付兼太 × 鈴木伸一 トークショー レポート(3)

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【『ドラゴンボール』(2)】

野沢「悟空が大人になったときは、今週まで子どもで次の週に突如大人になってて。1週間でこんなに変わっちゃうんだ(一同笑)。当時、屋形船でプロデューサーから悟飯くんが出るって聞いて、誰がやるのかなって。

 収録当日、台本見たら空欄になってて、こんなときもないしょなの? よく見ると私の名前と近い?(一同笑) プロデューサーに訊いたら「書いてあるでしょ」。え、私!?(一同笑) ごく最近プロデューサーが、鳥山先生が悟飯も私と選んでくださったと(教えてくれた)。鳥山先生はシャイだからパーティにも来られないし、たまに対談とかで会うくらいですけどね」

【声優イベントの想い出】

 30年以上前の声優のイベントが行われた際のパンフレットも紹介された。

 

肝付青二プロのイベントを九段会館でやって、リーディングドラマなどをやりました。当時はこういうのがなかった。パンフレット、イラストはいがらしゆみこさんが描いてくれて。パンフの写真は、すましていてもつまらないから、何かポーズをとってもらいました」

 

 野沢氏は野沢農園という看板の前ですいかを持って写っている。

 

野沢「このすいか、私がつくったんですよ」

肝付「撮影は神山卓三さん。写真撮った後、すいかはぼくがもらいました(笑)」

野沢「こういうのも肝ちゃんのアイディアだよね」

肝付神谷明くんのイベントは女の子が3000人集まったっていうけど、こちらはお客さん来てくれるかなと。当日、心配で事務所にいたら、電話がじゃんじゃん鳴って。プレイガイドには長蛇の列ができて30分で完売。三越の人もびっくりしたって」

野沢「声優のイベントとしては、あれが走りでした」

肝付「次は東宝の人からオファーが来て、いまはない日劇でやりました。999の列車が映像で走って、せりを松本零士先生が上がってくる。あれは気持ちいいだろうね。

 (出演者は)みんな忙しくて、稽古は夜中。よくあんなことやったな。このイベントは、録音したレコードがキングレコードから出て売ってたね。いろんなメディアが参入してきた。その後は日本縦断の声優大会」

野沢「毎週土曜日にいろんな街へ行く。服を毎回変えていくんだけど、サインするからどの服も真っ黒に。でもいい想い出ですね」

肝付「あのころが第一次声優ブームで神谷明井上真樹夫富山敬が御三家。その後は井上和彦三ツ矢雄二水島裕新御三家

 

【声優の志望者へ】

野沢「声優には人間ウォッチングが必要。電車でもいろんな人を見て、面白い喋り方をしてるなと思ったら、役者の引き出しにしまっとく。ウォッチングするだけなら、らくだし。パンチパーマの人をじっと見たらダメですよ(笑)」

肝付「下積みが長くて大変だったね。カラスの声とか(劇中に)テレビから流れる落語とか、現場でディレクターにやれって言われたら、できませんって言えない。それで初めてテレビのレギュラーになって、自分の名前が出たときの達成感。口では説明できない、いい気分。親戚見てるかな、とか(笑)。

 劇団では、せっかくうまくなってきて若い人がつまらない理由でやめることが多い。親戚や友達にも言って、自分でやめられなくするといい。やる以上はやめないこと」

野沢「歳をとると滑舌が悪くなる。訓練じゃないけど、私はお風呂で湯船に浸かったとき、あ〜んの五十音を言う。365日やっています」

 

【その他の発言】

野沢「つい最近ロスへ行ったら、ものすごい人が来て、私は赤い絨毯の上を偉そうに歩いちゃって、いい気分(一同笑)。渡辺謙さんが来てもファンはこんなに来ないって言われてびっくりしました。お手紙をくれた人もいて、アニメで日本語を勉強したみたい」

肝付「だから台詞をなまっちゃいけないよね(一同笑)」

鈴木「肝付さんも野沢さんも、アドリブがほんとに面白い。前もって考えないで、瞬間に出てくる」

野沢「アドリブは湧き出るね。(事前に)台本に書く人もいるけど。滝口順平さんは、台本にアドリブを書いてたね」

 

肝付「それにしても、マコさんのパワーはすごいわ。長生きしてよ」

野沢「私、ギネスブック載るから(笑)」

 

野沢「いまは、ターゲット(の年齢層)が高いアニメが多いですよね。もう少しターゲットを下げた作品が多いといいなというのが私の願いです」

肝付「ぼくの子どものときは『のらくら』とかでした。いまも“名作劇場”みたいなのを復活させられたらなあと」

野沢「アニメから学ぶことって多いですよね。ターゲットが上の作品も含めて、たくさんあるといいですね」

 最後に肝付氏が「のび太のくせに生意気だぞ」とキメ台詞。野沢氏は「かめはめ波」を客席へ打ち込み、大拍手。

 鈴木伸一館長はあまり発言されなかったが、ふたりが去った後で、こんなに愉しいのは久しぶり、と漏らしていた。『まんが道』(小学館)の “鈴木氏” そして藤子不二雄作品の小池さん…。