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宮下順子 × 白鳥あかね トークショー(神代辰巳監督特集)レポート・『四畳半襖の裏張り』『赫い髪の女』(2)

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神代辰巳論】

白鳥「クマさんは若いとき、松竹の助監督で、蔵原惟繕さんとかとシナリオを書かされてたんだけど、クマさんのは“女神”っていう、神々が大草原でセックスするシナリオで」

宮下「誰かから頼まれたんじゃなく、妄想で? 落とされるんじゃない?(一同笑)」

白鳥「びっくりした(笑)。『恋人たちは濡れた』(1973)で、大草原でセックスする場面があるけど、これはクマさんの原点なのかな。にっかつへ来て、やっと実現した。

 セックスはおおらかだっていうクマさんの思想です。ポルノシーンも自然で、それで人の共感を呼ぶ」

 

 神代辰巳監督は、1968年に『かぶりつき人生』で監督デビューするが、その後は『濡れた唇』(1972)まで足かけ4年の空白がある。

 

白鳥「『かぶりつき人生』っていう踊り子の話を撮って、クマさんらしい題材だったけど、監督昇進が遅くてあせっていたのかな。難しい題材になってて評判も悪くて。私もついてなかったし(笑)。クマさんは、監督としてはロマンポルノで勝負してやろうって気持ちがあった」

宮下「クマさんは、ロマンポルノの現場でいきいきしてましたね。愉しくて仕様がないって感じで」

白鳥「ちょっとはた迷惑だったけど(笑)」

宮下「いつまでもテストをやりますからね(笑)」

 

 その他の発言をランダムに紹介したい。

 

白鳥「(神代監督の出身地の)佐賀でやった上映会で、クマさんの中学の同級生だった人が、中学時代に女学生の脚の品評会をやっていたらクマさんが“女性は脚だけ見るもんじゃない、全体を見るものだ”って言ったと。クマさんは正真正銘のフェミニストだなあ」

宮下「監督としても神代さんは女優さんをよくしますよね。クマさんと仕事したいって女優さんはたくさんいましたね」

 

白鳥「『恋人たちは濡れた』(1973)で、ふたりの男(大江徹、堀弘一)とひとりの女(中川梨絵)が服を脱いで馬跳びする長回しのシーンがあって、撮りながらどんどん夕陽が落ちてく。途中で中川梨絵さんが跳ぶのをやめちゃって、みんな困っちゃったんですよ。どうしようもなくて、でも神代さんは決して跳べとか言わなかった。ぎりぎりで、東京へ帰らなきゃいけないのに、腕組みして待ってる。すごい人だなって、クマさんを見直しましたね。男優さんは裸で震えてる。でもクマさんがじっと待ってるから、みんな動けない。そのとき、梨絵が跳び出した。クマさんって意気地が無い男だと思っていたけど、本人は先祖が葉隠系の武士だって言ってて、武士の面影があるなって」

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白鳥「ロマンポルノはお金がなくて、オリジナルの音楽が使えなかった。音楽部の古いテープを使うしかなくて、でもクマさんはそれが厭で、だから(神代作品では)みなでよく唄いました。苦肉の策だったんですけど、いい効果になりましたね」

 

白鳥大島渚さんの『愛のコリーダ』(1976)が出たとき、クマさんは打ちのめされて、おれのやっていることは所詮にせものかって」

 

白鳥「クマさんは映画のことしか考えてないエゴイスト。でも基本的には優しい人でした」

宮下「神代さんは、ほんとに白鳥さんを頼っていましたね」

白鳥「神代さんは、私は箪笥みたいだって。いないと困るけど、いると邪魔(笑)。

 にっかつの渡り鳥シリーズの時代、クマさんはチーフ助監督でした。クマさんの詩情、ポエジーな感じは斎藤武市さんかな。小林旭の詩情にあふれたイメージがクマさんのDNAに組み込まれているのかなって。それがポルノという場で開花した。

 クマさんは、自分の映画が当たるか気にしてて。芸術家肌であんなにやりたいことやっていたのに。死んで20年経って、見てもらえて、自分ことを話してもらって。いつまでも人の心に存在してる。映画監督ってすごいですね。

 順子のほうが生き残るから、私の話をしてね(笑)」

宮下「長生きしてくださいよ。きょうのお客さんには独身の人、いっぱいいそうですね(一同笑)。私、とうとう結婚しなかったね」

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 最後に、近況について話された。

 

宮下「『マエストロ』(2015)は、西田敏行さんの死ぬ妻の役でメイクもせずに出ました。ネットの書き込みをたまに見たら、“すごく歳をとっていてびっくりしました”って(笑)。あれすっぴんですからね。現在は超暇ですね。いままでは好きに生きてきましたし、言えないこともいっぱい。

 よくゴールデン街の安いお店で、焼酎かウィスキーのホワイトを飲みました。いま、家では白ワインか純米吟醸ですね」」

白鳥「近くに住んでて、何かあるといっしょに飲んでます(笑)」

 

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