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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

宮下順子 × 白鳥あかね トークショー(神代辰巳監督特集)レポート・『四畳半襖の裏張り』『赫い髪の女』(1)

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 『青春の蹉跌』(1974)やにっかつロマンポルノの『赫い髪の女』(1979)などの秀作を遺して、1995年に世を去った神代辰巳監督。逝去から20年を経て、渋谷にて特集上映が行われている。

 この度、『四畳半襖の裏張り』(1973)と姉妹編の『四畳半襖の裏張り しのび肌』(1974)の上映後に主演の宮下順子、記録の白鳥あかね両氏のトークショーが行われた。

 宮下氏は、『四畳半襖』が神代監督との初顔合わせで、『赫い髪の女』や『快楽学園 禁じられた遊び』など多数の作品で組んだ。『赫い髪』では特に精彩を放っており、近年もテレビ『まほろ駅前番外地』(2013)、『八重の桜』(2013)、『55歳のハローライフ』(2014)などに出演している。

 白鳥氏は、神代作品にスクリプターとして多数参加。昨年、自伝『スクリプターはストリッパーではありません』(国書刊行会)を刊行し、『愛と死を見つめて』(1964)、『人魚伝説』(1984)など参画した作品の特集上映もあった(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

 

【『四畳半襖の裏張り』】

白鳥「尊敬する神代辰巳さんのために、こんなにたくさんの方に来ていただいて。順子さんは家も近くで、お酒も飲んだりしていますが、今回は少し緊張しますね。飲んでくればよかった(笑)。

 私はスクリプターとして(神代作品に)たくさんついてるけど、『しのび肌』だけで(1作目の)『四畳半』にはついてないんです」

宮下「私は、『四畳半』が神代さんとは初めてで、もう40年前です。とにかく優しく演出してくれて、遠くで指示するんじゃなくて。カメラの近くにいて、手取り足取り、手の動かし方から足まで丁寧に教えてくれたのを覚えています。丁寧を通り越してくどいときもありましたね。テストも何回もやって、他の監督は予算もないからどんどん撮っていくんですけど、でも神代さんはテスト10回とか。私にとってはよかったですね」

白鳥「クマさんは長回しで、カットを割らずに延々撮るから俳優さんもスタッフも大変。俳優さんは台詞を覚えて、照明はここで影をつくっちゃいけないとか、全パートが緊張する」

宮下「大きな声じゃ言えないけど、他の仕事では流れ作業もありましたよ。神代さんは丁寧にものづくりをしてましたね。たかがポルノでも愉しんでいた」

白鳥「たかが映画されど映画ってよく言ってました」

 

 2作目の『しのび肌』では少年(中澤洋)が夫婦の性生活を撹乱。少年が活躍?するのは、脚本の中島丈博の個性であろう(1作目の『四畳半』の脚本は神代監督が担当)。

 

白鳥『しのび肌』のあの男の子は当時18歳で、すれすれでしたね。彼はちょっと気持ち悪い(笑)」

宮下「一生懸命やっていたじゃないですか(笑)。あれがちょっと固くなってましたね(一同笑)。

 (相手役の)江角英明さんとは、仕事以外ではお会いすることがなかったんですけど、撮影中は貪欲で、手抜きも一切なくやっていらっしゃいました。一生懸命で」

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宮下順子神代辰巳

白鳥「順子さんは男っぽい、見た目は女性らしいけど。クマさんは男っぽい人が好きで、女らしい人は苦手ですね。不器用で純というか」

宮下「逆に女の人からは好かれてましたね」

白鳥「不器用で、女性へのあこがれが映画に滲み出ていますね」

宮下「セックスシーンでも、そばへ来て“こういう形になってみて”とか」

白鳥「そういう動きは必死に考えていたと思いますよ」

宮下「私に対して、女を感じてなかった(笑)」

白鳥「女を描くのは上手だけど、女っぽいのは苦手。女性にもてていたけど、女っぽい人からは逃げてたね」

宮下「私はクマさんと麻雀やったりゴールデン街で飲んだりしたけど、同性同士みたいな感じで仕事の話はしなかったですね。

 『赫い髪の女』のときは少し自覚が芽生えてて、中上健次さんの原作を読んだほうがいいですかって言ったら、“読んでも判らないからいいよ”って。あ、そうって、読みませんでした(一同笑)。石橋蓮司さんとクマさんは現場で、ああしようこうしようって愉しそうに。私は一切入れないで、タバコふかしてた。順子はこう動かそう、とかふたりで一生懸命話してる」

白鳥「もともと理屈が好きじゃない人。『濡れた欲情 特出し21人』(1974)では、芹明香が考えるより先に動いてたけど、片桐夕子は考える人で、クマさんは夕子に“頭で芝居するな”って言ってました」

宮下「前もって、この役はこうでああでっていうのは全くなかった。そのときの感性で、みたいな」

白鳥「最大に要求したのは感受性よね。順子さんは体で感じてくれるというか。『赤い髪』では抱きながらラーメンつくるところに感動しました」

宮下「あのシーンは台本になかったんですよ。“ここで泣いてみろ”って言われて、私、何で泣くんだか判らなかったんです。外は雨で、窓ガラスが本番中に外れちゃって、でも撮り直しはしませんでした」

白鳥「クマさんは現場のハプニングを大事にする。映画はこうじゃなきゃってのがなくて、極めて自然体」

宮下「こっちがやるのを見ながらつくっていく。役者ができないとあきらめて、すぐ演出を変える柔軟性がありました。発想がその場でどんどん出てくるんですね」(つづく)

 

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