私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

高橋洋(脚本家)トークショー レポート・『リング2』(2)

 松嶋菜々子さんはあまり出てこなくて真田(真田広之)さんは既に死んでいるから、(『リング2』〈1999〉の)登場人物は背景で何が起きているのか知らない。お客さんが既に知っていることを、登場人物が探っていく。ビデオを見て死んだって言っても、登場人物は信じない(笑)。そこで、なるだけ説明に手間がかからないように、中谷(中谷美紀)さんも陽一(大高力也)くんも霊感体質にして気配だけで気づいちゃう(笑)。そういう手を使って、1作目の世界観を共有していく。

 

 石丸謙二郎さんの刑事が“死亡推定はここ1、2年”と。30年間井戸に閉じ込められていたわけで、みんな、えっ!て思うかなって。それをファーストシーンに持ってきた。公開時にワイドショーで取り上げてくれて、井戸の中で30年間生きていたらしいって聞いたときは、パネラーが“ひぃっ”って。あ、これいけるな(笑)。ぼくは閉所恐怖症で、それで長く閉じ込められてた人が怪獣になるっていうのが根本にあったと思います。

 テレビから出てくるのをまたやっても仕方あるまい、と。すごい顔で死んでるのもやっちゃったし、見せないほうが(観客の)想像力はかき立てられる、抑制した表現でかき立てられることがあると90年代のぼくは思っていました。いまならプロデューサーに(それではダメだと)反論されるでしょう。1作目で怖いことがあったんで、予感で怯えてる。だからショックシーンはあまりないんです。

 『リング』の原作(角川ホラー文庫)はちゃんとしたミステリーで、呪いのビデオが手がかりになってて、ロジカルに組み立ててある。2時間ドラマ版(『リング』〈1995〉)は原作に忠実なんですが、(映画では)それは無理なんで、(登場人物に)霊感があることにした。スピリチュアルに解決するというのは、欧米の心霊ものの『赤い影』(1973)とか濃厚な世界観があればいいけど、日本でやると混乱する。いちばん混乱したのは中田(秀夫)さん(笑)。説明するけど、なかなか判りにくい。

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 田中陽造さん脚本の『地獄』(1979)、ぼくは井川(井川耕一郎)くんと陽造さんに会ったときも、しきりに『地獄』のことを…(笑)。すごく好きで、意識下に『地獄』と『エクソシスト2』(1977)がありました。1作目がヒットしたんで、結構何してもいい状態になってる。『エクソシスト2』はこけた作品なので、『エクソシスト2』を目指すって何かで言ったら、ネットに“大丈夫か、お前”って書かれて(一同笑)。でもこんなチャンスはないと思った。急いでホンつくらなきゃいけないし、予算的にはメジャーだし、やってしまえと。

 (1作目にも登場した)雅美(佐藤仁美)は精神病院に入っている。登場人物のその後を想像する面白さですね。無理やり続編を発信すると、入り組んだことになってきて、面白くて、考え出すと止まらなくなる。雅美は、幸い死んでいないので。

 雅美は貞子に触れられちゃって、中谷さんもマンションへ帰ると窓が開いてて、よく見ると閉まってる。脳が変調をきたしてる。刑事もおかしくなって、これは被爆というか。自分で監督した『恐怖』(2010)と似てますね。『リング2』のことは考えないでやっていたけど、似たことをやってるな。

 

 柳憂怜さんは、1作目では使いっ走りみたいな扱い。柳さんは『女優霊』(1996)で主演してもらって、中田さんもぼくも思い入れのある俳優さん。今回いちばんすごいドラマを背負っているのが柳さん。ラストも柳さんで(笑)。

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 小日向文世さんの川尻にはモデルがいて、川尻徹さん。本職は精神病理学者なんだけど、何故かノストラダムスにはまって、フランス語の予言を翻訳せずに、そのスペルをローマ字と同じアナグラムで読み取る。「週刊プレイボーイ」の記者の人が訪ねてインタビューして、記事の中で、ひょっとしてこの人、医者じゃなくて患者じゃないかという不安に襲われたと(一同笑)。またノストラダムスの予言を実行する陰謀があるという、その人の言うことを小日向さんにやってもらった。(劇中の)川尻は、あの世はないって言い張って、ことをより大きくしてしまう。それが好きですね(一同笑)。(つづく)

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