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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

池松壮亮 × 荒井晴彦 × 成田尚哉 × 安藤尋 トークショー レポート・『海を感じる時』(2)

荒井晴彦 映画

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【撮影現場のエピソード (2)】

成田「事務所は全編裸だと思った。だから男子禁制というか女性スタッフを多くして、ぼくも現場には入れない。安藤、現場はどうだった?」

安藤「トラブルは別にないですよ。まあ…なかった(一同笑)」

成田市川由衣さんはインフルエンザで倒れて、(撮影前の)リハーサルもできなかったんですね。それで最初の日が、ポスターにもなってるからみのシーンでした」

池松「インフルエンザはうつらないかな、とか(一同笑)。想像してたより華奢で、ぼくが華奢な人がタイプとかそういうことではないですが。

 前貼りって判りますよね。ぼくは『愛の渦』(2014)っていう乱交映画で、日々前貼りをしていて、だから市川さんより前貼りを貼るのが速くて。どうすれば早く貼れるかを手ほどきして、それで市川さんに“前貼り先生”と呼ばれるように(一同笑)。靴下とかストッキングをテーピングします」

成田「そうですか、判りました…(一同笑)」

 

安藤「全部(のシーン)に思い入れがありますけど、終盤に(市川さんと池松さんが)ごはんを食べるシーンは好きですね。池松くんのビンタも効いて」

池松「監督は、撮った後で外でガッツポーズしてましたね」

成田「暴力的な監督ですね(一同笑)」

 

池松「ふたりで窓を裸で見ていて、後ろからのショットで(外では)雨降らしをしてて。そこで安藤さんがぼそっと、“この世界にふたりしかいません”と。そういう感覚的なことを、ときどき…」

荒井「そういうの演出って言うの?(一同笑)」

池松「安藤さんから(事前に)ある程度の説明があって、からみのシーンでは目配せが。もうちょっと行ってくれ、みたいな顔で(笑)」

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【その他の発言】

成田「『愛の渦』より前、2年以上前に何かの資料を見て、池松さんのような、こんなたたずまいの人はいないなと決めました。ちょうどブレイクし始めたころだし」

安藤「キャストはプロデューサーとかキャスティングの人が決めますから、あまりぼくに決定権は…」

成田「相談してるだろ(一同笑)」

 

荒井「(シナリオを)書くときは出てくる人全部の気持ちにならないと書けないですね」

成田「声に出したりしませんか」

荒井「しません。女の人の台詞を女の人みたいに? 木下恵介さんは読んでいたらしいけど、そんなはずかしいことはしません」

成田「昔(の映画会社で)は本読みっていうのがあって、脚本家が重役の前で声色を使って脚本を読み上げるというのがありましたね。重役は、それまでホンを読んでない。荒井さんのころはなくてよかったですね」

荒井「にっかつでは、そういうのなかったね。本読みは厭だなと思っていたら、名前だけになっていた。重役はみな事前にホンを読んでいた」

 

 主人公が行きずりの男(三浦誠巳)に身を任せるシーンでは、ガムテープで腕を縛られる。会場から、荒井さんオリジナルの部分はガムテープのところですか?といういい質問があった(そういうことを知りたかった!)。

 

荒井「おれが変態みたいだね(笑)。30年前に書いたときは縄じゃなかったかな。何であいつの家に縄があるんだと。それでガムテープになったんじゃないかな。

 (自分のオリジナルは)“昔のあなただって、いまのあなたから見れば憎いでしょうね”という台詞だね。原作通りにやる脚本家なので、何もありません(一同笑)」

 

 市川さんの好きなシーンはカットされてしまったという。

 

荒井「3時間もあったラッシュでも、もうなかったね。いち早く削ったな」

安藤「(慌てて)いや、あのときはありましたよ(一同笑)」

 

成田「辛抱強く2時間のヘビーな映画を見ていただいて、ありがとうございます。荒井さん、安藤、池松さんも媚びることだけはしていない。賛否両論で、いまは悪口もありがたいという心境です」

池松「何かしら、引っかかってくれていたらと思います。やろうとしていたことを、きょうだけでも考えていただけたら」

荒井「お客さんが入っているのはありがたいんですけど、この映画でやろうとしていたことは多分ほとんど判ってないんじゃないかな。映画は役者を見るものなんですが。

 この映画はみなさんの価値観を否定するもので、恵美子(市川)や洋(池松)がどうしてああなるのかって感想が多いんですけど。

 ぼくの映画は、だいたいお客さんが入らなくて評論家に誉められる。客はバカだと思っていたんです。きょうは、評論家はバカで客は利口と言いたいんですけど…」

 

 池松ファンの多い客席からの質問は映画と関係ないものも目立ち、このミーハーな連中は理解できていないと、荒井氏は思ったらしい。たしかに時制は錯綜して判りにくく、あざとい劇音楽もないゆえ、ヘビーなのは確かだろう。だが、男をなじるとき自分が母に非難されたのと同じ仕草をしてしまう主人公、ラストで海へ向かう前に家を振り返る主人公の顔など、『海を感じる時』は読み解く面白さに満ちている。

 

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