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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

鎌田敏夫 トークショー レポート・『戦国自衛隊』(1)

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 1979年、戦国時代へタイムスリップした自衛隊の部隊が近代兵器器に戦うという奇想天外な映画『戦国自衛隊』が公開された。

 移動中だった陸上自衛隊の一小隊が、補給地ごと戦国時代にタイムスリップ。隊長(千葉真一)は上杉謙信夏八木勲)と意気投合し、武田信玄を討ち取ってともに天下人になろうと誓い合うが、激しい戦闘を繰りかえすうちに隊員たちの間に温度差が生まれ、戦車やヘリ、装甲車などの近代兵器も枯渇していく。

 

 戦国の武者たちの上を自衛隊のヘリが飛んでいるというヴィジュアルは強烈で、大掛かりな宣伝もあって、映画は大ヒット。プロデュースは角川春樹で、この時代の角川映画は、文庫や映画、音楽のメディアミックスと派手な宣伝で知られる。

 こういう娯楽作品の常として(?)批評家筋の受けは特に良くはなかったようだが(近年に書かれたレビューの評価も概して低い)、一方でフリークも結構いる作品で、2005年には設定を大幅に変えた『戦国自衛隊1549』が公開された。

 筆者はリアルタイムの世代ではないが、幼い頃にテレビで、全部ではないけれども見た記憶がある。裸の女性を海に投げ込むシーンが子ども心に印象的で(!)、こういう70年代の娯楽映画はいまなら地上波では流せないかもしれない。

 今年1月に川崎市にて、脚本を手がけた鎌田敏夫氏のトーク付きで『戦国自衛隊』が上映され、筆者も久々に見直すことになった。改めて見ると、いい加減な部分や古さを感じさせる演出も目につくが、全体としては豪勢な娯楽大作として気軽に愉しめる快作である。他のブログでも指摘があったけれども、この作品の冒頭のタイムスリップのシーンは魅力的で、かもめ、暗雲、沈む太陽、波の映像でいつのまにか時間旅行が終わっているというアナログな演出が、変に奇を衒ったものでなくて好ましい。

 

 上映後に、脚本の鎌田敏夫先生が登場。鎌田先生は、本作のような映画も手がけているが、メインワークはテレビで、『金曜日の妻たちへ』シリーズ(19831985)や『男女7人夏物語』(1986)など恋愛や友情を描いたヒット作で知られる。小説も多数書いておられ、6月に初のエッセイ集『来て!見て!感じて!』(海竜社)が刊行された。とてもお元気そうなご様子で、70歳を過ぎているようには見えない。  

 

【企画段階と角川春樹P (1)】

(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや、整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)

 『戦国自衛隊』の原作は半村良のSFシミュレーション的な短編だが、映画では大幅に脚色されている。

 

鎌田「(プロデューサーの)角川(春樹)さんが文庫をどんどん映画化していたから、半村さんのもやろうって。あれは薄いんです。半村さんので面白いのが他にあるのに、あれを選んだのは、角川さんのプロデューサーとしての見識ですね」

 

 鎌田氏は当時すでにテレビをメインに活動していたが、『戦国』に起用されることになった。監督も、テレビ『俺たちの旅』(1975)などで鎌田氏と組んでいた斎藤光正氏(2012年逝去)が務める。

 

鎌田「角川さんはテレビにも興味があって、エンターテインメントはテレビの人の方が向いてると。

 当時NHKで『十字路』(1978)っていうロードムービー(風ドラマ)を連続でやったんで、(角川氏は)それを見てぼくに興味を持ったらしいと斉藤さんは言ってました」

 

 『十字路』も『戦国』も、ともに主役は千葉真一である。

 

鎌田「当てたい、ヒットさせたいというプロデューサーで初めて会ったのが角川さんです。日本で当てたいという人はあまりいないんだね。やりたいことをやるために一度当てたいという人はいるけど。

 (『戦国』は)『アメリカン・グラフィティ』(1973)でやろうという合意があった」

 

 最後にみな死んでいくのは、『アメリカン・グラフィティ』を思わせる。

 

鎌田「角川さんは、自分がやりたい路線じゃないかもしれなかったけど、何も言わなかった。最初の打ち合わせは全部出てたけど、あとは金だけ出して口を出さない。気に食わない作品があっても、言わない。角川さんは、人の悪口を言わない。他の人の作品の悪口を聞くと嬉しいけど、言わないんだ。自分が金出してるんだから、いくら口出してもいいはずなんだけど。

 当初は本屋の坊っちゃんが映画つくるってんで、みんなにたかられたらしい。映画人って、そういうところがある」(つづく)

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