読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

庵野秀明 × 樋口真嗣 トークショー(岡本喜八監督特集)レポート・『激動の昭和史 沖縄決戦』『ブルークリスマス』(1)

岡本喜八 映画

f:id:namerukarada:20160730193150j:plain

 『独立愚連隊』(1959)などの映画作品で知られ、2005年に世を去った岡本喜八監督。逝去からかなりの時間が流れた近年も、エッセイ集『マジメとフマジメの間』(ちくま文庫)や対談集『しどろもどろ』(同)が刊行されていて、変わらぬ人気を保っている。昨2012年には、映画化が実現しなかったシナリオを収録した『岡本喜八お流れシナリオ集』(龜鳴屋)が出版され、そのマニアックぶりには驚嘆させられた。

 同年1112月には、銀座シネパトスにて特集上映が行われ、122日には、岡本監督を信奉する庵野秀明樋口真嗣両監督のトークショーが行われた。この日の上映は『激動の昭和史 沖縄決戦』(1971)と『ブルークリスマス』(1977)で、両氏はこの2作を愛好することで知られる。この日のトークの模様はシネパトスのサイトにアップされていたのだが、今年3月の閉館とともにそのページもなくなってしまったので、レポを載せることにした(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや、整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。 

f:id:darakarumena:20140426115454j:plain

 庵野秀明監督は、言わずと知れた『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズ(1995~97)の作り手で、エヴァが起動する際に表示される“BLOOD TYPE:BLUE”というフレーズは、『ブルークリスマス』の副題である。この時点で最新作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012)の公開から2週間後であった(今回のトークでは、『Q』については一切触れられことはなかった)。

 樋口真嗣監督は、アニメ・特撮畑から監督へ進出した人で、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)の特技監督として一躍名を上げた。庵野監督とも多数の作品で組んでおり、『新世紀エヴァンゲリオン』や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』(2007~2012)にもスタッフとして参画。昨2012年には、庵野氏のプロデュースで、『風の谷のナウシカ』(1984)の巨神兵が活躍(?)する『巨神兵東京に現わる』の監督も手がけて話題になり、AKB48のシングル曲「真夏のSounds good!」のPVも演出した。トークの日は最新作『のぼうの城』(2012)がまだ公開中。真嗣監督は、『ブルークリスマス』の劇中に登場するロックバンドの台詞「なーんちゃって」と言って登場したが、あまり受けていなかった。

 トークの進行役は、映画批評家樋口尚文氏が務める。氏はこの銀座シネパトスを舞台にした映画『インターミッション』(2013)にて、監督デビューを果たした。

 

【『激動の昭和史 沖縄決戦』】

 『激動の昭和史 沖縄決戦』は、太平洋戦争末期の沖縄戦を描いた大作で、一般人を多数巻き込む凄惨な地獄図がこれでもかと描かれる。同じ戦争に材をとった作品でも『独立愚連隊』のような娯楽色はなく、『肉弾』(1968)のようなユーモアとペーソスもなく、徹頭徹尾シリアスなタッチで、特殊技術を務めた中野昭慶は「喜八ちゃんらしくない気がした」と後に述懐していた(『特技監督 中野昭慶』〈ワイズ出版〉)。

 

庵野「『激動の昭和史 沖縄決戦』は、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987)が終わった頃にレンタルで借りて見ました。以前は100回以上見て、(絵コンテ執筆のときに)BGVに流してた。この映画のエネルギーを浴びてると、コンテも進む。最近は見てないけど」

真嗣東宝(映画)の予告編集のビデオがあって、それで見て、猛烈に買ってよかったと思った。(同じく岡本作品の)『日本のいちばん長い日』(1967)の曲が流用されてて、それでしびれたんです。どんな映画だろうと思って見たら、頭を殴られたような…。

 『ふしぎの海のナディア』(1990)に入った頃、ふたりで競うように(岡本作品を)見てました」

庵野「あのテンポのよさ。『トップをねらえ!』(1988)も『沖縄決戦』を見た後で変わるんです。1~4と5、6は違ってる」

真嗣「それまではマンガ、アニメだったのが、邦画のイメージが入ってくるんですね」

尚文「ぼくは公開された日に見たんです。『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(1971)と『沖縄決戦』が同じ日で、親にちゃんとした映画を見ろって言われて、『沖縄決戦』を見たら熱出した(笑)。その前に見たのが『斬る』(1968)で、重い監督って印象でした」

トップをねらえ! Blu-ray Box

トップをねらえ! Blu-ray Box

 

庵野「リアルタイムじゃないから、『日本のいちばん長い日』も『ブルークリスマス』もテレビで見て、似てると思ったら同じ人。文芸坐やPARCOで特集があって、できるだけ見た。他に『斬る』とか、プログラムピクチャー時代(の作品)は、大概好き」

真嗣「『血と砂』(1965)もいいです。

 岡本監督は、悪意の人かなって。権力に対する悪意で彩られている。理不尽に人の命が軽んじられるっていうか、大人っぽく言うと、意地悪さだな」

庵野「大人の言葉で言えば皮肉(一同笑)」

真嗣「あ、持っていかれた(一同笑)」(つづく)

にほんブログ村 映画ブログへ