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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

田畑智子 トークショー(甦る相米慎二)レポート・『お引越し』(1)

相米慎二 映画

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 今年、故・相米慎二監督の特集上映“甦る相米慎二”にて、上映された『お引越し』(1993)。両親の離婚を経て変わっていく小学生女子・レンコ(田畑智子)を描いた傑作である。脚本は、映画『サマーウォーズ』(2010)やテレビ『夜行観覧車』(2013)などで知られる奥寺佐渡子が手がけている(小此木聡との共同)。

 21日、渋谷のユーロスペースにて、『お引越し』の上映後に、田畑智子さんのトークショーが開催された。筆者は『お引越し』を見直すのは、178年ぶりなのだが、以前にビデオで見た折りもそれなりに面白いと思ったものの、今回見直して、スクリーンにみなぎる吸引力に圧倒された。長回しで切り取られた、田畑さんたち役者さんの演技が、画面を飛び出してこちらに迫ってくるように感じられる。また、再見で驚かされたのが、前半から後半にかけての主人公の変貌ぶりだった。両親が離婚する寸前の段階では、子どもっぽく見えた彼女が、さまざまな経験を経て中盤に至る頃に、ぐっと大人びた表情に変わったように思えるのである。どうやって演出したんだ!? 序盤で父親(中井貴一)とボクシングをしたりするからあどけなく見えたのか、あるいは台詞回しか。謎だ…。

 ラストは、舞台のような早着替えもある長回しのワンカットで、陰鬱なシーンもある映画は、シュールにさわやかに幕を閉じる。

 

 『お引越し』は、もとより評価が高い作品であるゆえ、映画館はぎっしり満員。筆者は、通路に座って見るのは、90年代の『ドラえもん』の映画以来久々である。

 上映終了後、すぐに田畑さん登場。トークの相手役は、『お引越し』をはじめ多数の相米作品で助監督を務めた榎戸耕史監督(以下のレポはメモと怪しい記憶頼りですので、実際と異なる言い回しや、整理してしまっている部分もございます。ご了承ください)。

 撮影時に11歳だった田畑さんの『お引越し』出演のきっかけは、京都・祇園にある実家の料亭に、たまたま相米監督たちが来たということらしい。

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田畑「お客さんが来ているから、ちょっとご挨拶に行ってらっしゃいと。姉と三人で行ったら、そこに相米さんとスタッフの方がいて、話して、終わった後にあれは何だったんだろうと。その日の夕方、私だけ呼ばれて行ったら、ホテルにスタッフの方が20人くらいくらいいたんです。お芝居やテレビは、ほとんど見ていなかった。引っ込み思案で、お客さんに挨拶もできなかったのに」

榎戸相米さんは、上のお姉さんじゃなくて、下の子じゃないといやだ、撮らないと」

 

 相米監督は、ひと目で田畑さんの資質を見抜いたということだろうか。まさに映画のワンシーンのような、運命の出逢いだった。

 

田畑「後日東京へ来てって言われて、最終オーディションは、東京で5人でした。中目黒の坂を走ったり、台詞を読んだり」

 

 オーディションに合格した田畑さんは、8000人以上の候補者の中から選ばれることになった。

 

田畑「(映画に興味がなかったので)撮影に入るまではごねた。東京からいろんな方が説得に見えました。おばあちゃんに“一回でいいからやってみなさい。いやだったらやめていい”と言われ、そうなんだと」

 

 撮影は夏なので、春からリハーサルが始まった。3か月、父親とボクシングごっこをするシーンの練習で立命館大学のジムへ行ったり、助監督と公園で大きな声を出したりしたという。(つづく)

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