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私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

寺田農 × 速水典子 × 志水季里子 トークショー(甦る相米慎二)レポート・『ラブホテル』(3)

相米慎二 寺田農 映画

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承前

【撮影現場 (2)】

速水「横からのタクシーのシーンを撮るのに、ドアを外して撮ってるんです。窓を閉める演技をしてるんだけど、ほんとはドアがなかった。あのころはオートロックじゃなくて、手動なんですね。いまは赤電話じゃなくて携帯だし(笑)。ここにいるのも、30年後の私たち(笑)」

 

 序盤のふたりの出会いのシーンで、村木が名美の服をナイフで剥ぐシーンがある。

 

寺田「本物の刃物なんです。ああいうの(シーン)は、切るこっちも厭なもんだし、切られる速水さんも厭だよね」

速水「本物だけに服がよく切れましたね~(一同笑) あとであざが残っちゃって、2年後(の設定)なのにまだあざがあって」

 

 中盤では、村木が名美の不倫相手の家に乗り込み、その妻(中川梨絵)をナイフで脅すシーンがある。

 

寺田中川梨絵さんを襲うシーンでもほんとにあたって、かかとのあたりから血が出ちゃって」

志水「アキレス腱切ったって聞きましたけど」

寺田「…アキレス腱は、さすがにないだろ(一同笑)」

 

 ラストシーンは、名美と妻、村木をめぐるふたりの女がすれ違い、そこへ桜吹雪やお面をかぶった子どもたちがなだれ込む(?)という、幻想的なもの。桜吹雪は、かたまりでどさっと降っているが、OKになってしまったという。

 

榎戸「ラストシーンの子どもたちは、エキストラでなく、近くの保育園の子。とてもエキストラを呼ぶ金がなかった。(ロマンポルノに)どう言って出てもらったのか(一同笑)」 

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【演技指導】

 相米監督は、若い俳優への厳しい指導でも知られる。薬師丸ひろ子永瀬正敏佐藤浩市工藤夕貴斉藤由貴牧瀬里穂田畑智子などが、大変だった撮影をそれぞれ証言していた。

 常連である寺田さんは、そのさまを相米監督の傍らでずっと見てきた。

 

寺田「(相米は)女優にものすごく厳しい。でも男には寛大。あるとき何でって訊いたら、“男は軟弱だから、女は強ええからよ“って」

 

 永瀬正敏佐藤浩市は、すごく厳しかったと回想していたが…。

 

寺田「ぼくは演技については文句言われなかったんですが、長い付き合いで、演技にダメ出しされたことが一回だけあって、それが『ラブホテル』。名美がアパートの前で待ってるシーンで、ぼくが雨の中を駆けてくる。雨を(人工的に)降らせてたら、パトカーは来るし、近隣住民も迷惑だし。速水さんは泣いちゃうし。で、思わず優しく台詞を言ったら、相米が“農さん、そりゃねえだろう”って」

榎戸「もっと、ぶっきらぼうにと。相米さんって、大体優しい言い方しないですよね」

寺田「あれはあいつの性癖っていうか、その言い方を(普段の恋愛で)実践してるんだね(一同笑)」

榎戸「(笑)それだけ、俳優さんの芝居を細かく見ていたんですね」

 

寺田「演技については、あいつはずるいから(直接に)言わない。若い女優さんに言うのでも、自分で言わずに“農さん、ほら言ってやれよ”って。でもこっちもそのまま言わずに、わざと全然違うことを言ったりして、それで演技に変化をつけたり」

志水「そういえば、私の台詞に独特の間があるって監督に言われましたね」

寺田「なるほど、そうかも」

速水「でも、寺田さんもそうですよ。だいたい、パンを両手で食べる男の人ってあんまりいないですよ。かわいい(一同爆笑)」

寺田「そうか(笑)」

榎戸「リハーサルも、こんな雰囲気でしたね(笑)」

 

 終了後に、外でコーヒーを買ってから、次の回を見るためにまた劇場へ戻る際、エレベーターで志水さんといっしょになった。志水さんは「速水さんと会うのも、(撮影以来)二十何年ぶりだね」などと話しておられ、思わず「映画よかったです!」と言おうかと思ったが…やめておいた(笑)。

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