私の中の見えない炎

おれたちの青春も捨てたものじゃないぞ まあまあだよ サティス ファクトリー

批評・感想

原爆ムービー今昔談 80年代以降を振り返る・『父と暮せば』『鏡の女たち』 (2)

80年代に過剰なまでに供給された反動か、90年代に入ると原爆を描いた作品は激減。冷戦が一応終結して、核戦争の危機が去ったように思われたのもあっただろう。

原爆ムービー今昔談 80年代以降を振り返る・『この子を残して』 (1)

広島・長崎の原爆から73年。戦争を知らない世代が跋扈?する時世になって久しい。筆者も戦後の1980年代に生まれたひとりだけれども、原爆を学ぶという触れ込みで見せられたのが80年代につくられた映画作品群だった。そこから現在へつづく流れを概観してみた…

ロスト パラダイスの夏・『失楽園』の映画とドラマ (2)

(承前)小林信彦は「これはもう、パロディ的邪劇であり、考え方によっては、ずいぶん高級な遊びと見えなくもない」とドラマ版『失楽園』(1997)を総括(『コラムは誘う』〈新潮文庫〉)。

ロスト パラダイスの夏・『失楽園』の映画とドラマ (1)

閑職に追いやられて虚無感を覚える50代の久木は、年下の書道教師・凛子に魅せられた。家族がいる身でありながら不倫の愛にのめりこんだふたりは、情交を重ねる。

森昌行と奥山和由・北野武映画をめぐるふたり

ビートたけし(北野武)が所属事務所のオフィス北野を退社し、たけし軍団が森昌行社長を非難して話題になっている。報道によれば森社長が筆頭株主となって会社の乗っ取りを企んだとのことで、ビートたけしも冗談めかして「一番裏切る奴は、一番よく働く奴」…

一少年の観た〈晩年〉・伊丹十三

伊丹十三が逝って、昨年12月で丸20年を迎えた。伊丹自殺の報が流れた朝のことは、筆者はまだ15歳だったが何となく思い出せる。筆者は伊丹の存在をリアルタイムで感じた中では、おそらく最年少の世代だろうか。ただ、当時の伊丹の評価は芳しいものではなかっ…

藤子不二雄A原作ドラマ『愛ぬすびと』のシナリオ(脚本:佐々木守)を読む (2)

【第1週/第2話】

藤子不二雄A原作ドラマ『愛ぬすびと』のシナリオ(脚本:佐々木守)を読む (1)

妻の入院費を稼ぐために結婚詐欺を繰りかえす青年・愛誠を描いた、藤子不二雄A『愛ぬすびと』(復刊ドットコム)。藤子Aの長いキャリアの中でも上位に位置するであろう傑作で、筋の面白さに加えて凝ったコマ割りやペンタッチも魅惑的で脂が乗りきっており、フ…

山田洋次のガチな心情・『家族はつらいよ』『虹をつかむ男』

巨匠・山田洋次監督の新作『家族はつらいよ2』(2017)の公開に合わせて『家族はつらいよ』(2016)がテレビ放映され、見ているとつくり手の心情について思うところがあった。予定調和だ凡庸だと批判されることの多い山田作品にも何となく漏れ出てくるものは…

立花隆はJ・J氏になったか・『ぼくはこんな本を読んできた』

「正論」2017年6月号にて、小浜逸郎が「シリーズ日本虚人列伝」と題して立花隆批判を寄稿している。マスコミで立花が非難されるのはもはや日常茶飯事になってしまったが、ひところの彼は“知の巨人”などともてはやされたものであった。個人的感傷も含めて、そ…

実相寺昭雄演出『歴史はここに始まる』

4月に渋谷にて行われた特集上映“実相寺昭雄の光と闇”のおかげで、テレビの教養番組『歴史はここに始まる』(1975)を鑑賞することができた。

ビューティフル ドリーマー・実相寺昭雄演出『東京幻夢』

『ウルトラマン』(1966)や『ウルトラセブン』(1967)により知られる実相寺昭雄監督がかつて手がけた短編映画『東京幻夢』(1986)。

藤子・F・不二雄作品 実写化のあゆみを振り返ろう(2)

(承前)映画『未来の想い出』(1992)から10年を経た2002年、『キテレツ大百科』の実写ドラマ『キテレツ』と『エスパー魔美』がNHKで相次いで放送された(このあたりになると筆者もリアルタイムで見ており、よく覚えている)。

藤子・F・不二雄作品 実写化のあゆみを振り返ろう(1)

藤子・F・不二雄のマンガ『中年スーパーマン左江内氏』(小学館)が、『スーパーサラリーマン左江内氏』(2017)と題して実写で連続テレビドラマ化される。

年始の日記たち

年末年始の動静というのは、時が流れても何となく覚えていたりする。そこで?手元にある本には年始に何をしたと書かれているか、読み返してみた。

巨星が墜ちた日 藤子・F・不二雄死去

1996年9月23日。 秋分の日で学校はなく、中学生の筆者は塾の模試をこなして、疲れきって帰宅。その夜には巨匠・大林宣彦監督のテレビ『三毛猫ホームズの推理』があり、録画をセットしようとテレビをつけた。

予告編と少年・『ロボ・ジョックス』

オリジナルビデオ『ウルトラマングレート』(1990)と『ウルトラマンパワード』(1993)がブルーレイ化されるとのことで、マニア間で話題になっている。

野沢尚と山田太一・『烈火の月』『反乱のボヤージュ』

『破線のマリス』(講談社文庫)、『深紅』(同)などで知られる脚本家・作家の野沢尚。野沢はインタビューなどで、同業の巨匠・山田太一への敬意を幾度も語っていて、ご両所が好きな筆者は何となく嬉しい気がしたものである。

愛の意味を考えてみた?・『離婚しない女』

北海道の町の実力者(夏八木勲)に目をかけてられている主人公(萩原健一)は、その妻(倍賞千恵子)と不倫関係に。実力者の夫は豪快に笑って、不倫を黙認する。主人公は釧路に向かう列車の中で、赤字のバーを経営する別の女性(倍賞美津子)とも出逢い、平…

1970〜2000年代の極私的ベスト日本映画

2012年に池袋の文芸坐にて、映画評論家の山根貞男氏の選ぶベスト映画の特集上映とトークショーが行われた。山根氏の『日本映画時評集成2000-2010』(国書刊行会)の出版を記念してのイベントで2000年代の日本映画に絞ったセレクトだったが、真似してそれぞれ…

川北紘一とゴジラ・『ゴジラvsビオランテ』『ゴジラvsキングギドラ』『ゴジラvsデストロイア』

映画『ゴジラvsビオランテ』(1989)が、公開から20年以上を経て評価が高い。昨年は大部の研究書『ゴジラvsビオランテ コンプリーション』(ホビージャパン)が刊行されたが、その『vsビオランテ』をはじめとするゴジラシリーズや『大空のサムライ』(1976)…

妻への恋文・ジェームス三木『存在の深き眠り』

かつて女性問題で世の話題をさらった脚本家・ジェームス三木。朝のテレビ小説『澪つくし』(1985)、大河ドラマ『独眼竜政宗』(1987)をたてつづけに大ヒットさせて時の人だった三木の不倫を、1992年に当時の妻(山下典子)が暴露した。近年のインタビュー…

虐殺の瞬間・『新藤兼人 原爆を撮る』

2012年に100歳で逝去した脚本家・映画監督の新藤兼人。新藤は90歳を過ぎても、映画『ふくろう』(2004)、『石内尋常高等小学校 花は散れども』(2008)、『一枚のハガキ』(2011)の脚本・監督を務め、浅田次郎原作の舞台『ラブ・レター』(2004)を演出し…

大山のぶ代の闘病と『ドラえもん』降板・砂川啓介『カミさんはドラえもん』

テレビ『ドラえもん』(1979〜2005)にて、ドラえもんの声を長年演じ、最近は認知症を患っていることを公表している大山のぶ代氏。大山氏は7月に仕事復帰したそうで、病と戦いながらも現役で仕事を続行されているのは喜ばしい。

肝付兼太演出・出演『おしいひと』

7月11日に肝付兼太演出・出演の舞台『おしいひと』を見に行った。

山下典子とジェームス三木・『仮面夫婦 私が夫と別れる理由』

半年くらい前、岡田斗司夫氏の女性遍歴が話題をまき、かつて似たような事態を引き起こした人物として、脚本家のジェームス三木の名が引き合いに出された。大河ドラマ『独眼竜政宗』(1987)、『八代将軍吉宗』(1995)などの脚本を手がけてヒットさせた巨匠…

武田鉄矢と久保田万太郎

昨年11月、映画『幸福の黄色いハンカチ』(1977)が珍しく地上波のテレビで放送された(主演した高倉健の追悼企画である)。この作品は刑務所帰りの主人公(高倉)が妻(倍賞千恵子)のもとへ戻る道中で若い男女(武田鉄矢、桃井かおり)と出会い旅するさま…

特撮武者たち・『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』(2)

テレビドラマではシナリオライターが、イメージリーダーという扱いを受けることが多いけれども、もちろんひとりでつくっているわけではなくしがらみも多い。『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる』(朝日新聞出版)にて小林靖子氏は制約について述べる。 …

特撮武者たち・『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』(1)

幼いころに多くの人が一度は通過しただろう、ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊といった特撮物。稲田豊史編『ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術』(朝日新聞出版)は、主に1990年代以降の子ども向け特撮ドラマを執筆した脚本家6人の…

野沢尚作品のラストの哀しみ・『恋愛時代』

シナリオライター・作家として活躍した故・野沢尚の小説作品『恋愛時代』(幻冬舎文庫)が、深夜ドラマ化されている。こってりした原作小説は軽めのタッチに改変されているが(脚本:藤井清美)、原作の発表から20年近くを経ての映像化は、筆者のようなマニ…